【冬レシピ】管理栄養士が教える! 冬野菜で作る「酢漬け」

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毎年のことですが、あっという間に年末年始が過ぎ去っていきましたね。皆さん、お節料理やお雑煮に、お腹いっぱいのお正月を過ごされたという方も多いと思います。私はというと、例年お正月のお節料理作りに忙しかったのですが、今回は実家のお世話になり、 “食べるだけ”の美味しいお節料理に幸せいっぱいのお正月でした。さて、今日は冷蔵庫にあると嬉しい、冬野菜で作る「酢漬け」をご紹介します。サッパリとした味わいで、お正月に続き新年会など続くなか食べ過ぎたな〜と思っている方にもオススメです!

 

免疫力を高めるビタミンCが豊富なカリフラワー

冬野菜の1つであるカリフラワー、普段食べていらっしゃいますか?この時期になるとブロッコリーと一緒に野菜売り場に並んでいるのをよく見かけます。ブロッコリーはよく食べると言われる方も、「カリフラワーは食べ方が分からない」と、食べる機会が少ないという方も多いのではないでしょうか。私は小さい頃はあまり得意ではありませんでしたが、大人になった今はとても大好きになり、この時期にしか食べられないカリフラワーを食べるのが楽しみです。茹でてマヨネーズを付けて食べたり、シチューに入れたりするのも美味しいですが、酢漬けにすることでカリフラワーが苦手な方も食べやすくなることもあるようです。

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肝心の栄養素についてですが、カリフラワーにはカリウムとビタミンCが豊富に含まれています。カリウムはむくみの改善や予防に効果が期待できます。お酒を飲む機会が多い年末年始、さらに寒い冬は冷えやすくむくみやすい時期でもあります。一方ビタミンCは抗酸化作用のある栄養素であるため、いろいろなストレスによって酸化(老化)する身体を老化から守ってくれる働きがあります。そのため、皮膚の老化防止(美肌)をはじめ動脈硬化予防などにも効果があると言われています。

さらにビタミンCには免疫力を高める作用もあるため、感染症にかかりやすい冬には積極的に摂取したい栄養素の1つです。淡色野菜であるカリフラワーは栄養素が少ないと思われがちですが、冬に最適な栄養素がしっかりと入っています。旬の冬以外で見かけることの少ない野菜ですので、この機会にカリフラワーを手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

◆冬野菜で作る「酢漬け」

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<材料>
カリフラワー      1/2株
ブロッコリー      3~5房
人参          小1本
蓮根          小1個
☆酢          150ml
☆砂糖         80g
☆塩          小さじ1~2(お好みの塩加減に調節してください)

 

<作り方>
① カリフラワーとブロッコリーは房ごとに切り分け、軽く塩茹でしておく
② 蓮根は半月切りにし、酢少々(分量外)を入れてサッと茹でておく
③ 人参は半月切りにする
④ 鍋に☆の材料を入れて加熱し、沸騰したら火を止めて粗熱をとる
⑤ 保存容器に④と野菜を入れて冷蔵庫で3時間~一昼夜程漬ける
(その間何回か上下を混ぜる)

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※1週間程度を目安に食べてください

 

漬ける野菜は上記以外にもきのこ類など(必ず加熱してから漬けてください)お好みのもので大丈夫です。合わせ酢を一度沸騰させることでツンとこない優しい味に仕上がります。面倒な場合はレンジでもOK。

酢漬けは3時間くらい漬ければ食べられますが、一晩以上漬けた方がより美味しくなります。漬け加減はお好みですので、漬け過ぎがあまり好きではない方はお好みの漬け加減になったら漬け汁を捨てて保存しても。お好みの漬け加減をいろいろ試してみるのも楽しいですよ。ごはんのおともはもちろん、小腹がすいた時などのちょっとした間食にも最適です。冷蔵庫にあると嬉しい一品。是非お試しください。

 

参考サイト

厚生労働省「総合医療」情報発信サイト

http://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/16.html

 

文:カベルネmama

管理栄養士、食生活アドバイザー2級の資格を保持。保育園で献立作成や食育を担当していた経験を持つ。現在は幼い3人の息子の育児をしながらレシピ記事作成を行う。料理を作ること・食べることが大好き。子どもたちのため、栄養たっぷりで簡単に作れ、喜んで食べてくれるものを考案する日々を送る。

 

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映画『君の名は。』で世間をザワつかせた、お米を噛んで醸す口噛み酒とは?

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映画『君の名は。』の大ヒットをきっかけに、一躍スポットライトを浴びた「口噛み酒」。地上波初登場の際も、物語のカギを握る重要アイテムでもあったことから、「口噛み酒」というワードは再び世間をザワつかせSNSでトレンド入りした。

では現実問題として、映画のシーンで描かれたような造り方で酒はできるのか。また、造れるとすれば度数はどの程度で、どんな味がするのだろうか。今回は各種文献や資料をもとに、口噛み酒の実態に迫ってみたい。

 

噛み続けると甘くなるお米の性質に着目した酒好きがいた?!

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「米を噛んで、吐き出して放置しとくだけで自然発酵してアルコールになるんやさ」

これは巫女姿のヒロイン三葉が神殿で、厳かにお米を口に入れ噛んでは吐き出す姿を見ながら、彼女に想いを寄せる同級生が友人に口噛みの酒の説明をするセリフだ。ブドウは適度な酸と糖分を含み、皮に自然酵母が付着しているので、潰して放置するだけで発酵しワインに変わる。しかしお米は酸も糖分も含まないため、潰して放置しても酒にはならない。そのためアルコール発酵させるには、何らかの方法でまずお米を糖化する必要がある。

そこで、既に果実が酒に変わる体験をしていた古代人の誰かが、噛み続けると甘くなるお米の性質に着目し、その甘味を利用することを思いついたのだろう。唾液中の酵素がお米のデンプン質を糖化させるという化学知識がなくとも、日頃の経験則から着想が芽生えたものと推測される。こうして地球上のどこかで、お米の口噛み酒が誕生した。

どの地域で最初に誕生したのかは不明だが、口噛みの酒は東南アジアから南太平洋を経て、南北アメリカ大陸にも広がった。中国の歴史書には、沿海州やモンゴルでもお米の口噛み酒を醸していたとの記述がある。そして、日本への伝来は縄文後期以降と考えられている。

なお、原料にはアワ・ヒエ・トウモロコシ・イモ等も使われた。アマゾン上流の先住民はつい数年前まで、キャッサバ(イモ類)を口噛みして酒を醸していた。但し今は口噛みではなく、サトウキビ汁の糖分を利用して手早く造られているそうだ。

 
アルコール度数9%、甘口の酒にヨーグルトを混ぜたような味

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それでは、お米で造られた口噛みの酒は、いったいどのような味に仕上がるのだろうか。

東京農業大学の小泉武夫教授(当時)が、研究室の女子学生の協力を得て口噛み酒を実際に造った際の経緯を、『酒に謎あり』(1998年初版)という自著で紹介している。

手順としては3人の女子学生に各々100gの蒸米を4分間噛んでもらい、ペースト状になったお米を唾液と共にビーカーに吐きためてもらった後、屋外にビーカーを放置して自然発酵させた。すると…、

「10日間も発酵を続けると9%ものアルコールが生成されたのである。これは今のビールの2倍もの濃度である。それと同時に生酸量も乳酸として0.9%も出た。かなり酸味の強いものである。」

そして肝心な酒の味については、「ちょうど甘口の酒にヨーグルトを混ぜたような、今日の酒とは似ても似つかないものであった」と言うことだ。

 

ちなみにこめかみと呼ばれる顔の部位は、お米を噛むと動くことがその名の由来と言われているが、4分間お米を噛み続けていると実際にこめかみが痛くなり、「ああ、これが“こめかみ”なんだ」と改めて語源の意味が実感できたそうである。

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かつて「醸む」の字は「かむ」と読まれていた。酒を「醸す」は「噛むす」が語源との説もある。口噛みの酒のシーンはその生々しさで物議を醸したが、お米と酒が神事と深く結びついていたことを、改めて世に知らしめるきっかけになったのは確かだ。

ヒロインの祖母・一葉の言葉通り、「水でも米でも酒でも、人の体に入ったもんが魂と結びつくこともまたむすび」なのである。

 

参考資料:
「酒に謎あり」小泉武夫著(1998年/講談社)
「古酒新酒」坂口謹一郎(1978年/講談社文庫)

口噛み酒(Wikipedia)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A3%E5%99%9B%E3%81%BF%E9%85%92

【1月薬膳レシピ】年末年始の食べ過ぎ飲み過ぎに……疲れた胃腸にしみわたるアサリのお粥

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忘年会やクリスマス、そしてお正月に新年会……。皆さん、体調はいかがでしょうか? 食べ過ぎや飲み過ぎに注意しようと思っても「ついついお酒も食事も美味しくて……」と、次の日に胃もたれや二日酔いを繰り返してしまう方、いませんか? 二日酔いや食べ過ぎは消化に悪影響を及ぼし、体に必要な栄養も吸収できなくなってしまいます。飲み過ぎや食べ過ぎてしまう方、必ず次の日は体をリセットし、整えながらお酒や食事を楽しむよう心がけましょう。

 

飲み過ぎ、食べ過ぎの次の日は……

お酒は体に湿気と熱をこもらせます。まずは溜まった湿気と熱を、体から出してあげることが大切です。そのためには肝を整えて、水分代謝を良くすることが大切です。また食べすぎて胃が重い方、お腹を壊してしまった方は、消化を整えてあげることが大切です。できれば、胃を休める意味で食事を減らすのも良いでしょう。

 

◆湿気と熱をとる食材

あさり、緑豆、もやし、セロリ、グレープフルーツ、トウモロコシのひげetc

◆肝を補う食材(巡りを良くするもの)
セロリ、ネギ、ピーマン、菊花、春菊、ジャスミン茶、ウコン、クレソンetc

◆消化を整える食材
大根、白菜、山芋、カリフラワー、レンコン、ブロッコリー、ハトムギ、お粥、白湯etc

 

 

疲れた胃腸にしみわたる アサリのお粥

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<レシピ2人分>

お米 1合

アサリ 200g

白菜(葉の部分) 1枚

小ネギ 適量

昆布だし 500ml〜(多めに準備する)

酒 大さじ2

太白ごま油 小さじ1

塩 適量

 

<作り方>

1. お米は洗ってザルに上げておく

2. アサリは砂抜きし、耐熱皿に並べ酒をふりラップをかけて2〜3分レンジで加熱する
    口が開いたら蒸し汁と身に分けておく

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3.白菜は細かく刻む

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4. 鍋に昆布だしと2の蒸し汁を入れ沸騰したら1を入れる

    再び沸騰したら太白ごま油を入れて、時々混ぜながら柔らかくなるまで煮る(20〜30分程度)

    *汁気が足りなくなったら、出汁を足しながら煮る

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5. 米が柔らかくなったら、2のあさりの身と3を入れる

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6. 白菜に火が通ったら塩で味を整えて、しばらく蒸らす

7. 器に盛ったら、細かく刻んだネギを添えて出来上がり

 

文:建部春菜
「薬膳とヨガと心地よい毎日」主宰。熊本を拠点に薬膳やヨガをベースとしたライフスタイルを提案。様々な場所で薬膳やヨガのイベントを開催 。また、学研プラス merアプリにて「かんたん薬膳」を連載。

 

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【冬レシピ】管理栄養士が教える! ビタミンC豊富な柚子の皮入り「柚子味噌」

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冬だと言われているこの冬。ずっと暖かいのかと思っていたら急に寒くなり、ようやく冬の訪れを感じています。寒くなってくると食べたくなるのが、水炊きなどのお鍋。お鍋には柚子やかぼすなどの柑橘類があるとより美味しくなりますよね。

柑橘類の中でも柚子は香りがよく、皮まで使えるので重宝します。果汁は醤油と合わせて二杯酢にしてお鍋などに使えますし、皮はお吸い物に入れたり大根のお漬物に入れたりするととても爽やかな香りがして食欲が増します。また、柚子の皮を使ってマーマレードジャムを作ることも。今回は、そんな捨てるところのない柚子を使ったごはんのおともをご紹介します。少ない材料でできますし、日もちするので冷蔵庫にあると便利ですよ。

 

美肌をつくりながら冬の感染症を予防!

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柚子にはビタミンCとビタミンEが豊富に含まれています。

ビタミンCは皮膚や細胞の健康を維持するために重要な栄養素。健康的な肌をつくるのに欠かせないコラーゲンの合成には、タンパク質だけでなくビタミンCが必須です。さらに、ウイルスなどの増殖を阻止するインターフェロンの生成を促進する効果もあると言われています。これから寒くなるにつれ、ウイルスなどによる感染症が流行してくる季節です。ビタミンCは水溶性のビタミンですので毎日摂取することが重要。ビタミンCが豊富に含まれた柚子を食べて感染症を予防しましょう。

ビタミンEは抗酸化力の強い栄養素。加齢やストレスなどの要因によって活性酸素が増加して細胞が酸化されると、老化だけでなく動脈硬化などの疾病の原因にもなってしまいます。ビタミンEには活性酸素が増加するのを抑制する作用があります。さらに、ビタミンCも同じく抗酸化力を持つ栄養素。ビタミンCとビタミンEの持つ抗酸化力は、一緒に摂取することでより効果が期待できます。柚子にはビタミンCとビタミンEがどちらも豊富に含まれるため、老化防止や美肌には最適な食材です。

 

果汁よりも多くのビタミンを含む柚子の“皮”

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柚子には皮膚の健康維持や感染症予防への効果が期待できるビタミンCや抗酸化力の強いビタミンEが多く含まれていると述べましたが、柚子の皮には果汁よりもはるかに多くのビタミンCとビタミンEが含まれています。ビタミンCは果汁の4倍近く、ビタミンEにおいては果汁の14倍も! 柚子の皮だけをたくさん食べることは難しいですが、マーマレードジャムや今回ご紹介する柚子味噌にすることで、効率的にビタミンCやビタミンCを摂取することができるのでオススメです。

 

◆柚子味噌

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<材料>
柚子の皮         4~5個分(大きさによって異なるのでお好みの量でOK)
柚子の果汁        1個分
味噌           200g
砂糖           100g
みりん          大さじ1

※柚子の皮は白い部分を入れると苦味が出るので、苦いのが苦手な人はなるべく薄く皮を剥くのがオススメ
※今回は米味噌を使っていますがお好みのものでOK。砂糖は使用する味噌によって加減を

 

<作り方>
① 柚子はよく洗って皮を薄く剥いて千切りに、1個分だけ果汁を搾っておく
② 鍋に味噌と砂糖、みりんを入れて軽く混ぜ合わせておく
③ 鍋を弱火にかけ、練るような感覚で混ぜながら10分程度煮る
④ 火を止めて、①で搾っておいた柚子の果汁と皮を加えてよく混ぜ合わせて完成

※粗熱が取れたら清潔な保存容器に入れ、冷蔵庫で2週間くらいを目安に食べきってください

 

柚子が美味しい季節、たくさんの柚子をいただくという方もいらっしゃるかもしれません。私もこの時期になると実家でできる柚子をいっぱいもらいます。果汁は絞って冷凍することもできますが、香り豊かな皮の使い道を毎年考えています。昨年はマーマレードジャムを作りましたが、今年はこの柚子味噌に決定です。ごはんのおともになるのでとても嬉しいですし、爽やかな香りとフレッシュな酸味でごはんがさらに進みます。おにぎりにつけて食べても相性抜群。この機会に柚子味噌を作ってみませんか。

 

文:カベルネmama
管理栄養士、食生活アドバイザー2級の資格を保持。保育園で献立作成や食育を担当していた経験を持つ。現在は幼い3人の息子の育児をしながらレシピ記事作成を行う。料理を作ること・食べることが大好き。子どもたちのため、栄養たっぷりで簡単に作れ、喜んで食べてくれるものを考案する日々を送る。

 

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日本酒だけではない。お米から生まれるいろんな酒の話 ④東南アジア米酒巡り

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泡盛・米焼酎、紹興酒、マッコリの順に比較的メジャーなお米生まれの酒を取り上げてきたが、稲作文化圏の東南アジア各地には、知られざるお米生まれの酒が庶民の暮らしの中に息づいている。シリーズの最後は、そんなお米由来の酒をいくつかご紹介することにしよう。

 

タイには泡盛のルーツと言われる酒やお米のウイスキー(?)が

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泡盛の原料がタイ米であることはシリーズ①で軽く触れたが、その泡盛のルーツと言われている酒が、同じくタイ米を原料とするタイの蒸留酒ラオ・カーオである(タイ語でラオは酒、カーオは米)。田舎の冠婚葬祭などに欠かせない庶民の酒で、アルコール度数は28〜40度。無色透明ながら香り・味共に少々クセが強いため、各種薬草を原料とするヤードーンという赤い添加物を混ぜて飲むのが一般的だ。滋養強壮・精力増強に効果があるとされるヤードーンは、タイではスーパー等で手軽に買えるので、効き目に興味のある方はラオ・カーオとセットでどうぞ。

その他タイには、もち米とサトウキビを主原料に、ハーブやスパイスで香りを付けた通称タイ・ウイスキーがある(分類上は焼酎)。ほんのり甘みがあって、タイ好きで知られる秋篠宮殿下が、初めてのタイ旅行で出会って以来大好きになってしまったとのこと。『メコン』『センソン』『リージェンシー』等が代表銘柄である。

 

お米生まれのベトナムウォッカはエスニック料理と相性抜群

ベトナムにもお米を原料とする蒸留酒(ベトナムウォッカ)がある。最も有名なのが、古代米の黄色もち米を原料とする『ネプ・モイ』(ベトナム語でネプはもち米、モイは新しい)。シナモン、ココナッツ、ウイキョウ等を加えた麹で発酵させるため、無色透明ながらナッツやバニラのような甘い香りが特徴的だ。アルコール度数は40度。後味が程よくさっぱりしているので、スパイスの効いたエスニック料理と相性が良い。

また、うるち米を原料とする『ルア・モイ』もベトナムで人気の蒸留酒である(ルアは稲の意)。無色透明で飲み口はほんのり甘く、度数は45度と高め。ソーダ割りやフルーツを使ったカクテルベースとしてオススメだ。

少し変わっているのが、赤もち米で造った『ネプ・カム』である。東洋のシェリー酒の異名を持ち、赤い色と紹興酒のような香りが特徴で度数は29.5度。後味は意外にさっぱりしている。

これらの酒は米粉で作った麺料理のフォーや生春巻き等、お米を使った地元の名物料理と相性が良いのはもちろん言うまでもない。

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インドネシア、フィリピン、マレーシアなどのどぶろく色々

醸造酒に目を向けると、インドネシアにはブルムというライスワインがある。特に国際的なリゾート地・バリ島産の『ブルムバリ』は、バリ土産の定番として空港等でもよく見かける。黒もち米を原料に使っているため見た目は赤ワインより紫がかっており、ポートワイン(ポルトガル産の甘口ワイン)に似た甘味と酸味のある味わいが特徴である。

 

では最後に、東南アジア各国で造られているお米生まれの醸造酒(どぶろく)をいくつかご紹介してこの項を締めくくるとしよう。

・タプイ(フィリピン):ルソン島北部の一般家庭で造られる、炒り米を原料とした甘口の酒。度数は12度前後。

・タパイ(マレーシア/インドネシア):うるち米で造る度数20度前後のやや黄味がかった自家製酒。液化が進む前の固形の段階でスナックとして食されることも多い。

・サト(タイ):タイ東北部の農村で広く造られている、もち米を原料とする酒。甘味が強く度数は12度程度。蒸留すると上述のラオ・カーオになる。

・チャン(ネパール/インド):お米や麦等を原料に、各家庭で造られる度数5%前後の酒。乳白色でとろみがあり、程良い酸味と甘みですっきりとした飲み口が特徴。

その他黒もち米を使うラオスのラオ・ハイ、竹の筒を通して飲むベトナムのルオウ・カン 、マレーシアのイバン族が造るトゥアなど、お米を原料とする多彩な酒文化が各地域で根付いている。

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東南アジアでは、自家製の酒を許可なく売るのは違法だが、自分で楽しむのは問題ないという国が多い。そのため特に農村部では、それぞれの家庭にそれぞれの酒の味がある。主食としてのみならず酒造りの原料としても、お米は日々の暮らしの中に溶け込んでいるのだ。

 

参考サイト:


ライスワイン全般 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%B3
ラオ・カーオ(ラオ・ラーオ) http://soklek.sakura.ne.jp/hoshi-k/laokhao.htm
メコンウイスキー http://princeakishino.blog.fc2.com/blog-entry-53.html
ベトナムの伝統酒 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan/108/8/108_583/_pdf
ベトナムのローカル酒 https://allabout.co.jp/gm/gc/448843/
ブルム http://rikastar.blog.fc2.com/blog-entry-945.html
タプイ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%97%E3%82%A4
タパイ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%91%E3%82%A4
ネパール チャン http://www.asahi.com/housing/world/TKY201111120246.html
ラオ・ハイ https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1988/95/3/95_3_193/_pdf
ルオウ・カン https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%AA%E3%82%A6%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%B3

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