“山田錦”、“五百万石”、“雄町”……。酒造好適米の品種によって酒の味はどう違う?

 

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お米を原料に使って醸造する日本酒は、ワインほどの歴然とした差はないものの、やはり原料の品種によってベースとなる酒の味に個性の違いが生じる。日本には現在100種類を超える酒造好適米(酒造りに適したお米)が作られているが、その中でも特にメジャーな品種に絞って、それぞれの特徴と味の違いをご紹介したい。

 

生産量の約75%を占める上位3品種

農林水産省が実施している醸造用玄米検査の数量データによると、“山田錦(約40%)”、“五百万石(約27%)”、“美山錦(約8%)”の上位3品種だけで酒造好適米の全生産量の約75%を占めており、その後はいずれも2%から1%台以下の品種が続いている。まずは上位3品種について詳しく見てみよう。


◆自他ともに認める酒造好適米の王者 ―“山田錦”
昭和11年(1936)に兵庫県農事試験場で開発され、現在は約30の府県で栽培されている酒造好適米の王者。今でも兵庫県産が60%以上を占め、中でも土壌と気象条件が揃った三木市や加東市、西脇市方面の特定エリアは、最も良質なものが獲れる特A地区に認定されている。他の品種に比べて長稈(茎が長い)でやや太いが、しなりやすくて倒伏しやすい。丈夫な稲穂に育てるには、田起こしする際にミネラルを混和させる必要がある他、心白を出やすくするために砕石(ゼオライト)を土壌に混合させたり、苗の間隔を通常の2倍とって日当たりと通気性を良くするなど、育成に手間暇を要する。タンパク質が少ないため雑味が少なく、全体的にすっきりとした中にコクのある酒質に仕上がる。また香味が良いため大吟醸クラスの酒を造るには申し分なく、近頃大人気の銘柄『獺祭』をはじめ、山田錦しか使わないという蔵も全国に少なくない。


◆酒どころ新潟生まれの東の横綱 ―“五百万石”
西の横綱が“山田錦”なら、東の横綱は主に新潟を主産地とする五百万石である。新潟の気候風土に合うように作られたお米で、その名も昭和32年(1957)、新潟県の米の生産量が五百万石を突破したことを記念して付けられている。吸水性はやや低いものの、蒸米にした場合に適度な硬縮性があり、機械での麹米作りに適しているため需要が増加している。米の粒が小さいため高精米には不向きだが、すっきりと軽快でキレのある飲み口に仕上がることが多く、口当たりも優しい。まさに淡麗辛口の、新潟の酒のイメージそのものである。


◆雪のような心白を持つ突然変異種 ー“美山錦”
昭和53年(1978)に長野県農事試験場で、突然変異によって誕生した品種。北アルプスの山頂を染める雪のような心白があることから、この美しい名が付けられた。耐冷性に優れ寒冷地でも栽培ができるため、秋田、山形、岩手など東北地方でも多く生産されている。米質が硬くて醸造の際に溶けにくいため、雑味が少なく米の風味がしっかりと感じられやすい。そして香味は控え目で、全体的にきれいですっきりとした軽快な味わいに仕上がることが多い。

 

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絶滅寸前から復活した通好みの人気品種

◆熱烈なファンも多い「酒米の母」―“雄町”
安政6年(1959)に発見された日本最古の純血種の酒米。「酒米の母」とも言える存在で、“山田錦”をはじめとする酒造好適米の6割以上が、雄町を親にした品種改良から誕生している。そのため、上位3種と合わせて「四大酒米」と総称されることも多い。
稈長が高くて倒伏しやすく、また病虫害にも弱いため、絶滅の危機に瀕し「幻の米」と呼ばれた時期もあった。全生産量の9割以上が岡山で作られている。雄町米で造られた酒は、ふくよかな旨味と深いコク、絶妙な甘味と酸味のバランスが特徴で、そのコクのある味わいに惚れ込み自らを「オマチスト」と呼ぶファンもいるほど。

◆『夏子の酒』で一躍有名に ―“亀の尾”
明治26年(1893)に山形県で発見、育成された米。食用、酒造用の両方で高く評価され、「不世出の名品種」と謳われた。“ササニシキ”、“コシヒカリ”など多くの食用米の祖先でもある。病害虫に弱く倒伏しやすいため一時は絶滅の危機に瀕したが、漫画『夏子の酒』で物語の鍵を握る伝説の米“龍錦”のモデルになったこともあって、再び人気を集めている。酒としては奥行きがあって力強い、しっかりとした味わいに仕上がるのが特徴である。

 

主な酒造好適米の特徴と個性について知っておくだけで、日本酒の楽しみ方は大きく広がってくる。今回の記事を参考に、お米の品種と味の違いについてご自身の舌で確かめてみてはどうだろう。

参考文献:
『新訂 唎酒師必携』(1999年初版)

【全国のごはんのおとも】青森県民お気に入りの“ねぶた漬®” 、“つがる漬”

 

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本州最北端に位置する青森県は、東を太平洋、西を日本海、北を津軽海峡や陸奥湾に面し、白神山地や八甲田山など豊かな自然環境を有している。中央部には奥羽山脈が縦走し、西側の津軽地方、東側の南部地方とでは、昔から異なる文化や風土を形成してきた。中でも食文化は、「隣町同士でも食べるものが違う」と言われるほど、その地域の特性を色濃く映し出している。

 

お米を主体とした食文化が息づく津軽地方

青森県の西部に位置する津軽地方には、弥生時代に稲作が行われていたとされる垂柳遺跡などがあることから、古来、お米ともちを使った料理が発達してきた。また、広い範囲が日本海、陸奥湾、津軽海峡に面した沿岸地帯であることから、海の幸を主体とした郷土料理が伝承されてきた地域でもある。この津軽地方をメインに、長年青森県民に人気の“ごはんのおとも”がある。

 

ルーツは江戸時代の松前藩!? ロングセラーのお漬物

青森県民の食卓に欠かせない味というのが、数の子とスルメ、昆布と大根をしょうゆ漬けしたものだ。よく似たものに“松前漬”がある。その昔、海を隔てて向かい合う北海道の松前藩と津軽藩との交流によって、松前漬の食材や調理方法などが共有されていたとか。松前漬が数の子、スルメ、昆布をしょうゆで漬け込んだものであるのに対し、青森県で食べられているものには、大根やキュウリといった野菜の漬物が入っている。ここでは、青森県でロングセラーとなっている2つの商品を紹介したい。

 

●ねぶた漬®
昭和41年の発売当初から、長い間愛され続けている甘辛い味付けの“ねぶた漬®”。味付けが濃いため、ごはんのおとも以外にお酒のおつまみとしても人気が高い。前出のとおり、数の子、スルメ、昆布、大根、キュウリをしょうゆベースの漬け汁に漬けたものであるが、食材が細かく刻まれているのが特徴だ。野菜はシャキシャキ、パリパリ感があり、歯ごたえを楽しむことができる。数の子は大きめの塊と細かいものがあり、細かいものは野菜やスルメなどにからみ、プチプチ感を楽しめる。

これらの食材をまとめているのは、昆布のぬめり。この正体は、昆布の成分である“フコイダン”によるものである。この成分は水溶性食物繊維で、整腸作用のほか、アレルギーの予防やコレステロールの抑制などの効果が期待できるという。これらの食材がうまく合わさり、絶妙な食感と食味を表現している。加えて適度な粘りがあるため、ご飯などの食材によく絡み、さらに比較的濃い味付けによってごはんがどんどん進むのである。

ちなみにねぶたとは、青森の夏祭りを代表するねぶた祭りで使用される山車のことである。ねぶた漬®のパッケージには勇壮なねぶたが使用されており、青森を代表するお土産品の一つとなっている。お土産には、ギフト用や数の子の量が多い“特撰ねぶた漬®”などがお勧めだ。


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●つがる漬
“つがる漬”は、主に弘前市や津軽地方で好まれている食べ物だ。つがる漬のつけ汁には、津軽地方で醸造された特選しょうゆを使用されるといったこだわりよう。大きめに切られた数の子を口にした時の食感は、高級感や満足感を感じさせる。さらに手間を惜しまず、丁寧に薄皮を取り除いた数の子の食感は、おかずの1品として十分な存在感だ。

 

おともはごはんだけじゃない!? 美味しい食べ方は無限


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津軽平野は、県内でも有数の米の産地である。平野の周囲にある山々から、ミネラル豊富な雪解け水が流れ込むため美味しいお米が育つのである。美味しいお米と“ねぶた漬®”や“つがる漬”との相性は抜群だ。もちろん一番のお勧めの食べ方は、熱々の白いごはんに乗せて食べることである。しかし、白いごはん以外の食材とも良く合う。そばやうどんなどの麺類や、豆腐や細切りにした長芋などにかけたり、キュウリやワカメなどを刻んだものに混ぜたりするだけで、ごはんに合うおかずが完成する。納豆と混ぜる食べ方もお勧めだ。さらに、チャーハンや炊き込みご飯などにアレンジしてもおいしく食べることができる。夏の暑い日など食欲の落ちやすい時期でも、これがあれば夏バテ知らずだ。


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“ねぶた漬®”も“つがる漬”も、青森県内のスーパーで販売されているため、手軽に手に入れることができる。冷凍保存もできるため、大量に購入しても安心だ。数の子、スルメや昆布、野菜を使って自家製の漬物を作る家庭もあるほど。「小さいころから、いつも食卓にある身近な食べ物だ」「これさえあれば、何杯でもごはんが食べられる」という県民が多い。このように青森県民にとってねぶた漬®やつがる漬は、古くからごはんのおともとして身近な存在であり、これからも欠かすことのできない食材であると言っても過言ではない。

イギリスでお米が人気!お弁当と米チップスを楽しむイギリス人


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イギリス人は、いつもパンを食べていると思ってはいないだろうか。実は今、イギリスでお米が体に良い食べ物として注目されている。健康志向の高いイギリス人は、お米で作ったパンやスナックを楽しみ始めているのだ。今回は、お米がイギリスで大ヒットしている理由と、イギリス人が大好きなお弁当とスナックを紹介したい。

 

イギリス人とお米

「イギリス人といえば、パンだ」という考えは、時代遅れかもしれない。グローバル化の進む今、エキゾチックで新しい食べ物はどこでも珍しくないだろう。次々と発売される新商品は、イギリスでも人々の心を捉えて離さない。また、健康に対する関心が高いのは日本だけではない。イギリスでも、セレブを始め、お菓子とアフタヌーンティを毎日楽しんでいた隣のおばさんまでもが、甘い食べ物をあきらめ、体に良いと謳われる食べ物を求め始めているのだ。こうした中、イギリスで新たに注目されているのがお米だ。とは言っても、お米がイギリス人にとって全く新しい食べ物というわけではない。イギリス人は、大英帝国時代からインドよりお米を輸入して食べている。また、タイ米もここでは珍しくはない。それでは、なぜ、今になってお米が大ヒットしているのだろうか。イギリス人が小麦粉で作られた製品に躊躇しはじめたのは、およそ2年前からである。

 

お米が注目されているのは、なぜ?

イギリス人が小麦粉に疑いを持ち始めたのは、科学的研究結果の発表が起点である。そこで、小麦粉が体に悪影響を与える食べ物の一つであることが主張されたのだ。小麦粉に含まれるグルテンが肥満を招き、体に悪い。特に、白い小麦粉は、栄養価が低く、繊維が少ない。白いパンは、食後に血糖値の急上昇をもたらす。繊維とたんぱく質の不足から満腹感が続かず、食べ過ぎの原因となる。糖尿病やうつ病の原因になる等の発表が次々と行われ、小麦粉は徹底的に叩かれたのだ。

この事態に油をそそいだのが、クリーンイーター(Clean Eater)と自称するフードブロガー(Food blogger)である。グルテンフリー(グルテンを含まない食べ物)は美しい食べ物で、砂糖や油を多量に含む食べ物は悪い食べ物だとレッテルを貼ってしまったのだ。健康志向の高いイギリス人は、これに恐れをなして、小麦粉よりも体に良いと言われているお米を選ぶようになった。最も注目されているのは、栄養価が高くて、繊維が豊富な玄米である。血糖値の急上昇を招かない玄米は、健康食品として、多くのヘルス業界のエキスパートが推奨している。

 

イギリス人の大好きなお弁当とスナック
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お米といえば、お弁当とくるのが日本人。日本人ならば、梅干しをのせたり、ふりかけやごま塩が振りかけられたりしたご飯のお弁当がお馴染みだ。ところがイギリスでも、お米ブームとあって和風弁当に人気が集まっている。スーパーに行くと、サーモンや鶏の照り焼き弁当、カツカレーや寿司弁当が目立つ。ニンジンの千切りや赤ピーマンを具にした野菜巻きは、ベジタリアンと称してウエストのくびれを心配する若者に人気がある。カツカレーは、昨年デビューした比較的新しいお弁当であり、大ヒットしている。日本米のデリケートで高級な味わいは期待できないが、日本の味が多かれ少なかれ楽しめる。

元来イギリス人は、ポテトチップスが大好きだ。“サンドイッチとポテトチップス”の組み合わせはイギリス人の典型的な昼食ということもあり、さまざまな風味と見た目のチップスは、どこでも手に入れることができる。ところが、お米で作られた“米チップス”といった、米を材料とする商品が増えつつある。フレーバーは、塩味、バーベキュー味、サワークリーム味、キャラメル味など、塩味系から甘系までと幅広い。スナックだけではなく、米粉のクッキーやケーキ、フランスパンやピザ、お米のミルクまで売られている。日本でお米といえば、和菓子やご飯が主流だが、イギリス人は、色々と試して、商品やレシピを生み出すことが得意だなと感心させられる。


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お米は、日本人にとって、あって当たり前といった、空気のような存在になってはいないだろうか。だから、日本米の素晴らしさを時として忘れがちになってしまうような気がする。日本米は、その美味しさと美しさで世界に知られる誇るべき日本文化のひとつである。その日本米がすぐ手に入るといったその恩恵に日々感謝しつつ、一口一口を美味しくいただきたい。

 

ライター:ラッド順子

プロフィール:イギリス在住のライター。イギリスの食文化などに精通し、イギリスのさまざまな魅力を発信している。旅行や食べ歩きも好きで、よくイギリスの穴場スポットを散策している。

『リゾットの国』イタリアのお米の歴史


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パスタやピッツァと並んで人気のイタリア料理、リゾット。イタリアでお米の栽培が始まるのは15世紀の後半であった。アジアが原産のお米は、古代ローマ時代からその存在は知られていたものの、お米の栽培がブームになるのはルネサンスの時代になってからである。その後、水田の存在がマラリアの原因になるという理由でお米の栽培は減少、ふたたびイタリア半島でお米が復活するのは20世紀に入ってからである。

 

ミラノの公爵が栽培を奨励した「お米」

西方社会の“小麦”の対極にあるのが、東方の“米”である。紀元前4世紀のギリシア人は、すでにお米の存在を知っていた。古代ローマの人々も、お米を東方から輸入はしていたものの、栽培まではしなかったのである。13世紀に入ると、ヨーロッパでも各地でお米の消費が始まる。理由は、当時の王侯貴族に好まれた“白色”であった。キリスト教会では“純潔”の象徴であった“白”は、食卓においては味よりも珍重されたためである。しかし、いつごろからイタリアをはじめとする、ヨーロッパでのお米の栽培が始まったのかは不明である。アラブ人によってシチリアにもたらされたとか、スペイン人によってナポリにもたらされたのがはじまりなど諸説ある。当初は、薬草としてサレルノの医学学校の薬草園で栽培されていたようだ。当時の記録では、お米は下痢に効くとされている。
お米の栽培を奨励したのは、ミラノの公爵である。平野が広がるミラノ周辺は、お米の栽培には向いていたためである。1473年の公爵の手紙には、「私の領土に米を植えた。しかし、栽培方法に明るくないので、詳しい者を招聘した」と書かれている。この時代にミラノで活躍していたレオナルド・ダ・ヴィンチも、現在まで残る草稿に「Riso (米)」という言葉を書き残している。

 

“スープ”か“リゾット”か

イタリア半島に上陸したお米には、さまざまなレシピがあった。ナポリやフランスの王は、お米を食後のデザートとして食していたという。お米とアーモンドミルクを煮てシナモンをかけていたというのもそのひとつだ。北イタリアでお米が普及した理由の一つに、“ミネストラ”と呼ばれるスープがある。北イタリアでは、野菜や肉や魚などを煮込んだスープが郷土料理の一つであった。このスープには、穀物を入れる慣習があった。そのため、お米はミネストラの具材として北イタリアで普及したといわれている。ところが、ミネストラにお米を加えるのは調理が非常に難しかったようである。お米は水を吸うので、あらかじめ水の量を正確に把握する必要がある。一方、“リゾット”は調理しながらスープを加えていくため、お米が柔らかくなった頃合いで火を止めればいいという点で料理するのが簡単であった。というわけで、現代の北イタリアでも、「お米料理といえばリゾット」が本流になったのである。

 

不遇の時期を超えて20世紀に復活したお米

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15世紀の終わりに普及し始めたお米は、17世紀はじめに栽培が下降の一途をたどることになる。理由は、マラリアである。まだ医学が発展途上だった当時、水田から発する空気が疫病の原因になるという珍説まであった。19世紀半ばになってようやく、マラリアの感染は空気ではなく、蚊を介して発病することが判明しお米はようやく濡れ衣を晴らすことになる。
16世紀の終わりから19世紀初頭にかけて、北イタリアの各地やシチリアでも、水田を減らすという法令が何度も発布されている。とはいえ、お米を愛する人々は常に存在していたため、町から一定の距離がある場所にはお米の栽培が許可されていた。しかし、お米には関税がかけられていたため、非常に高価なものであった。ようやくお米に対する偏見が解かれるのは、1861年にイタリアが王国として統一した後である。しかし、お米の栽培がイタリア半島で始まった当初の品種は、18世紀にはほぼ絶滅していたようだ。

現在、イタリアで“原種の米(Riso Originario)”と呼ばれる小粒の品種は、1924年に選別されたものである。このお米は、イタリアに住むアジア人にとっては祖国のお米に最も近いとして愛好されるが、イタリア料理であるリゾットには不向きであった。イタリア人は、お米を材料とする菓子を作る際に利用している。イタリア人がリゾットの材料として好む粒の大きいお米の改良は、20世紀に行われている。“アルボリオ米”、“バルド米”、“カルナローリ米“など、粒が大きく調理後にはかなり膨張するものが、1900年代半ばから次々と登場した。冬には“リゾット”を愛好するイタリアだが、夏になるとお米の“サラダ”が主流となる。ゆで上げたお米を洗って、トマトやツナ、チーズ、オリーブを混ぜたサラダで、このレシピにはアルボリオ米やタイ米など、好みのお米を調理するのが通常である。また、昨今の健康ブームで玄米や黒米など、さまざまなバラエティのお米が店頭に並ぶのをよく見かける。今やお米が、豊かなイタリアの食の幅をさらに広げている。
italiamai3イタリアの店頭に並ぶさまざまなお米。写真左上/左端がイタリアの“アルボリオ米”で右側がタイ米、写真左下/タイの“黒米”、写真右下/“バルド米”

 

保存方法についても、イタリアと日本とはかなり相違がある。イタリアにはもちろん、ライサーは存在しない。イタリアではお米もパスタと同じ扱いであるから、冷暗所である食品庫に、買ってきた袋のまま置かれているのが通常である。1キロ単位で買ってきたお米は、ともに食事をする人の人数にもよるが、1回か2回で使い切ってしまう。ライサーであれば、1合2合という具合で計るが、パスタと同じ扱いのイタリアのお米は、計量器で量って調理するのだ。

イタリアを旅行中においしいリゾットを食べたい、と思ったら、やはり本場はミラノを中心とした北イタリアと考えた方がよい。イタリア半島では随一といってよい広大な平野、ポー平原周辺がお米の一大産地であるからだ。イタリア半島を南下すると、水田を目にすることはほとんどなく、ゆえにお米の文化はやはり北イタリア独特のものであることを実感するのである。

 

引用元:①Il genio del gusto Alessandro Marzo Magno 著 P125

参考文献:
・Il genio del gusto Alessandro Marzo Magno著 Garzanti 刊
・Storia dell’alimentazione  Jean-Louis Flandrin, Massimo Montanari監修 Laterza刊
・Leonardo non era vegerariano Oscar Farinetti監修 Maschietto 刊

 

文:cucciola
イタリア在住十数年。ローマ近郊の山から、イタリアの魅力発信中。
ブログ ルネサンスのセレブたち(http://blog.livedoor.jp/cucciola1007/
    イタ飯百珍(http://cucciolasapori.hatenablog.com/

「アーユルヴェーダ×お米」でより健康的な毎日を

 

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お米は、私たちの身体を作るのになくてはならない食材である。それは世界共通で、インドの『アーユルヴェーダ』でも同じである。日本とインドでのお米に対する捉え方の違いを、アーユルヴェーダの視点で見てみよう。お米への印象や食べ方が変わるかもしれない。

 

アーユルヴェーダとは?

アーユルヴェーダとは、インドに伝わる世界最古の伝統医学のことである。サンスクリット語で『アーユル(生命の)ヴェーダ(科学)』という意味。病気の治療のことばかりでなく、予防を視野に入れた考えや、生活習慣を説いている生きる知恵なのだ。この世のものは五大元素(空・風・火・水・土)で構築されていると考えられている。人の身体・時間・季節など、全てだ。そして、身体を支えるエネルギーを『ドーシャ』といい、ヴァータ(空と風)・ピッタ(火と水)・カパ(水と土)の3つでバランスをとっている。人は誰でも3つの要素を持っていて、そのバランスが崩れると気持ちが安定しなかったり、病気になると考えられている。(自身のドーシャが気になる方は「ドーシャ診断」で検索。)

 

アーユルヴェーダとお米の関係性

ayurveda2アーユルヴェーダでは、食べ物は3つのグナ(性質) に分類される。心を左右する3つの性質を『トリグナ』と言い、サットヴァ(純粋性)・ラジャス(動性)・タマス(惰性)がある。サットヴァは理想の状態、バランスと調和のとれたもの(健康な状態)を意味する。ラジャスは動きを意味し、ラジャスが増えると心身のバランスが崩れ始め、イライラしたり不安になったりする。そしてタマスが増えると、無気力や鬱の状態になってしまう。お米はサットヴァに分類され、その中でも特に純粋性が高い食べ物とされている。

さらに、全ての食べ物が『オーグメンティング(身体に栄養を与えるもの)』と、『エクストラクティブ(排泄を手助けするもの)』の2つに分けられる。6:4の割合でとることが、バランスがいい食事とされている。お米はオーグメンティングに属す。オーグメンティングの食べ物の特徴として、甘味をもっていることが多い。

以上のことから、アーユルヴェーダの考えの中で、お米は純正なものとされ、身体に良いエネルギーと栄養を与えるとても重要な食材なのだ。

 

アーユルヴェーダ的お米の食べ方

お米は、ジャポニカ米とインディカ米の大きく分けて2つの種類がある。普段私たちが食べているお米はジャポニカ米で、実は世界で約2割程度しか栽培がされていない。比べてインディカ米は、世界の約8割のお米を占めているのだ。近年では多国籍料理店の流行によって、インディカ米を目にする機会が増えたように思う。
アーユルヴェーダでよく食べられるのは、“バスマティライス”と“ジャスミンライス”だ。“バスマティライス”は、香り高いお米として有名で、炒った木の実のような香りがする。“ジャスミンライス”は、「香り米」とも呼ばれ世界的にも高級なお米で、ナッツや豆類のような香りがする。“バスマティライス”に比べて少し丸みがあるのが特徴である。

 

アーユルヴェーダでは欠かすことのできない、“キッチャリー”と呼ばれるインド式粥がある。ショウガのすりおろし・岩塩・ギーと、その時の自分に合ったスパイスをたっぷり使い、引き割りムング豆(緑豆)と一緒に炊いて作る粥である。
“ギー”とは、発酵無塩バターを火にかけ、余分なものを取り除いた純正なオイルのこと。アーユルヴェーダでは料理には勿論、マッサージオイルとしてなど多様な使い方がある。キッチャリーを作るのに使うスパイスは、シナモン・カルダモン・ターメリック・コリアンダーなどさまざま。キッチャリーは心と身体の両方を安定させてくれる浄化食。普段フル稼働している身体の消化器官を休めるのに適した食事である。定期的に食べることでダイエット効果も期待できるのだ。
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食生活をいきなり全て変えることは難しい。しかし、食べ方を少し工夫するだけで、太りにくくなる身体と習慣は作ることができるのだ。お米を食べる=太るというのは間違っている。アーユルヴェーダで実際に行われている食べ方の知恵を2つ紹介しよう。
ひとつめは「一口ごとにスプーン(箸)をおく」。これを行うことでよく噛む習慣や、何より今、口に含んでいるものをしっかりと味わって食べることができる。常にスプーンやお箸を持っていると、無意識に今食べているものよりも、次に口に入るものに意識が向いてしまいうのだ。食材を育てた人、食事を作った人に敬意を払って美味しく食べることが大切。ふたつめは「げっぷがでたら食事をやめる」。げっぷは身体からのお腹がいっぱいのサインなのだ。この習慣を身につけることで食べ過ぎることがなくなるのだ。

このように、お米はアーユルヴェーダの世界でもなくてはならない食材なのだ。国や文化を超えて、お米を美味しく楽しみながら、心身共に健康的な毎日を過ごしていただきたい。

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