イギリスでお米が人気!お弁当と米チップスを楽しむイギリス人


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イギリス人は、いつもパンを食べていると思ってはいないだろうか。実は今、イギリスでお米が体に良い食べ物として注目されている。健康志向の高いイギリス人は、お米で作ったパンやスナックを楽しみ始めているのだ。今回は、お米がイギリスで大ヒットしている理由と、イギリス人が大好きなお弁当とスナックを紹介したい。

 

イギリス人とお米

「イギリス人といえば、パンだ」という考えは、時代遅れかもしれない。グローバル化の進む今、エキゾチックで新しい食べ物はどこでも珍しくないだろう。次々と発売される新商品は、イギリスでも人々の心を捉えて離さない。また、健康に対する関心が高いのは日本だけではない。イギリスでも、セレブを始め、お菓子とアフタヌーンティを毎日楽しんでいた隣のおばさんまでもが、甘い食べ物をあきらめ、体に良いと謳われる食べ物を求め始めているのだ。こうした中、イギリスで新たに注目されているのがお米だ。とは言っても、お米がイギリス人にとって全く新しい食べ物というわけではない。イギリス人は、大英帝国時代からインドよりお米を輸入して食べている。また、タイ米もここでは珍しくはない。それでは、なぜ、今になってお米が大ヒットしているのだろうか。イギリス人が小麦粉で作られた製品に躊躇しはじめたのは、およそ2年前からである。

 

お米が注目されているのは、なぜ?

イギリス人が小麦粉に疑いを持ち始めたのは、科学的研究結果の発表が起点である。そこで、小麦粉が体に悪影響を与える食べ物の一つであることが主張されたのだ。小麦粉に含まれるグルテンが肥満を招き、体に悪い。特に、白い小麦粉は、栄養価が低く、繊維が少ない。白いパンは、食後に血糖値の急上昇をもたらす。繊維とたんぱく質の不足から満腹感が続かず、食べ過ぎの原因となる。糖尿病やうつ病の原因になる等の発表が次々と行われ、小麦粉は徹底的に叩かれたのだ。

この事態に油をそそいだのが、クリーンイーター(Clean Eater)と自称するフードブロガー(Food blogger)である。グルテンフリー(グルテンを含まない食べ物)は美しい食べ物で、砂糖や油を多量に含む食べ物は悪い食べ物だとレッテルを貼ってしまったのだ。健康志向の高いイギリス人は、これに恐れをなして、小麦粉よりも体に良いと言われているお米を選ぶようになった。最も注目されているのは、栄養価が高くて、繊維が豊富な玄米である。血糖値の急上昇を招かない玄米は、健康食品として、多くのヘルス業界のエキスパートが推奨している。

 

イギリス人の大好きなお弁当とスナック
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お米といえば、お弁当とくるのが日本人。日本人ならば、梅干しをのせたり、ふりかけやごま塩が振りかけられたりしたご飯のお弁当がお馴染みだ。ところがイギリスでも、お米ブームとあって和風弁当に人気が集まっている。スーパーに行くと、サーモンや鶏の照り焼き弁当、カツカレーや寿司弁当が目立つ。ニンジンの千切りや赤ピーマンを具にした野菜巻きは、ベジタリアンと称してウエストのくびれを心配する若者に人気がある。カツカレーは、昨年デビューした比較的新しいお弁当であり、大ヒットしている。日本米のデリケートで高級な味わいは期待できないが、日本の味が多かれ少なかれ楽しめる。

元来イギリス人は、ポテトチップスが大好きだ。“サンドイッチとポテトチップス”の組み合わせはイギリス人の典型的な昼食ということもあり、さまざまな風味と見た目のチップスは、どこでも手に入れることができる。ところが、お米で作られた“米チップス”といった、米を材料とする商品が増えつつある。フレーバーは、塩味、バーベキュー味、サワークリーム味、キャラメル味など、塩味系から甘系までと幅広い。スナックだけではなく、米粉のクッキーやケーキ、フランスパンやピザ、お米のミルクまで売られている。日本でお米といえば、和菓子やご飯が主流だが、イギリス人は、色々と試して、商品やレシピを生み出すことが得意だなと感心させられる。


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お米は、日本人にとって、あって当たり前といった、空気のような存在になってはいないだろうか。だから、日本米の素晴らしさを時として忘れがちになってしまうような気がする。日本米は、その美味しさと美しさで世界に知られる誇るべき日本文化のひとつである。その日本米がすぐ手に入るといったその恩恵に日々感謝しつつ、一口一口を美味しくいただきたい。

 

ライター:ラッド順子

プロフィール:イギリス在住のライター。イギリスの食文化などに精通し、イギリスのさまざまな魅力を発信している。旅行や食べ歩きも好きで、よくイギリスの穴場スポットを散策している。

『リゾットの国』イタリアのお米の歴史


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パスタやピッツァと並んで人気のイタリア料理、リゾット。イタリアでお米の栽培が始まるのは15世紀の後半であった。アジアが原産のお米は、古代ローマ時代からその存在は知られていたものの、お米の栽培がブームになるのはルネサンスの時代になってからである。その後、水田の存在がマラリアの原因になるという理由でお米の栽培は減少、ふたたびイタリア半島でお米が復活するのは20世紀に入ってからである。

 

ミラノの公爵が栽培を奨励した「お米」

西方社会の“小麦”の対極にあるのが、東方の“米”である。紀元前4世紀のギリシア人は、すでにお米の存在を知っていた。古代ローマの人々も、お米を東方から輸入はしていたものの、栽培まではしなかったのである。13世紀に入ると、ヨーロッパでも各地でお米の消費が始まる。理由は、当時の王侯貴族に好まれた“白色”であった。キリスト教会では“純潔”の象徴であった“白”は、食卓においては味よりも珍重されたためである。しかし、いつごろからイタリアをはじめとする、ヨーロッパでのお米の栽培が始まったのかは不明である。アラブ人によってシチリアにもたらされたとか、スペイン人によってナポリにもたらされたのがはじまりなど諸説ある。当初は、薬草としてサレルノの医学学校の薬草園で栽培されていたようだ。当時の記録では、お米は下痢に効くとされている。
お米の栽培を奨励したのは、ミラノの公爵である。平野が広がるミラノ周辺は、お米の栽培には向いていたためである。1473年の公爵の手紙には、「私の領土に米を植えた。しかし、栽培方法に明るくないので、詳しい者を招聘した」と書かれている。この時代にミラノで活躍していたレオナルド・ダ・ヴィンチも、現在まで残る草稿に「Riso (米)」という言葉を書き残している。

 

“スープ”か“リゾット”か

イタリア半島に上陸したお米には、さまざまなレシピがあった。ナポリやフランスの王は、お米を食後のデザートとして食していたという。お米とアーモンドミルクを煮てシナモンをかけていたというのもそのひとつだ。北イタリアでお米が普及した理由の一つに、“ミネストラ”と呼ばれるスープがある。北イタリアでは、野菜や肉や魚などを煮込んだスープが郷土料理の一つであった。このスープには、穀物を入れる慣習があった。そのため、お米はミネストラの具材として北イタリアで普及したといわれている。ところが、ミネストラにお米を加えるのは調理が非常に難しかったようである。お米は水を吸うので、あらかじめ水の量を正確に把握する必要がある。一方、“リゾット”は調理しながらスープを加えていくため、お米が柔らかくなった頃合いで火を止めればいいという点で料理するのが簡単であった。というわけで、現代の北イタリアでも、「お米料理といえばリゾット」が本流になったのである。

 

不遇の時期を超えて20世紀に復活したお米

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15世紀の終わりに普及し始めたお米は、17世紀はじめに栽培が下降の一途をたどることになる。理由は、マラリアである。まだ医学が発展途上だった当時、水田から発する空気が疫病の原因になるという珍説まであった。19世紀半ばになってようやく、マラリアの感染は空気ではなく、蚊を介して発病することが判明しお米はようやく濡れ衣を晴らすことになる。
16世紀の終わりから19世紀初頭にかけて、北イタリアの各地やシチリアでも、水田を減らすという法令が何度も発布されている。とはいえ、お米を愛する人々は常に存在していたため、町から一定の距離がある場所にはお米の栽培が許可されていた。しかし、お米には関税がかけられていたため、非常に高価なものであった。ようやくお米に対する偏見が解かれるのは、1861年にイタリアが王国として統一した後である。しかし、お米の栽培がイタリア半島で始まった当初の品種は、18世紀にはほぼ絶滅していたようだ。

現在、イタリアで“原種の米(Riso Originario)”と呼ばれる小粒の品種は、1924年に選別されたものである。このお米は、イタリアに住むアジア人にとっては祖国のお米に最も近いとして愛好されるが、イタリア料理であるリゾットには不向きであった。イタリア人は、お米を材料とする菓子を作る際に利用している。イタリア人がリゾットの材料として好む粒の大きいお米の改良は、20世紀に行われている。“アルボリオ米”、“バルド米”、“カルナローリ米“など、粒が大きく調理後にはかなり膨張するものが、1900年代半ばから次々と登場した。冬には“リゾット”を愛好するイタリアだが、夏になるとお米の“サラダ”が主流となる。ゆで上げたお米を洗って、トマトやツナ、チーズ、オリーブを混ぜたサラダで、このレシピにはアルボリオ米やタイ米など、好みのお米を調理するのが通常である。また、昨今の健康ブームで玄米や黒米など、さまざまなバラエティのお米が店頭に並ぶのをよく見かける。今やお米が、豊かなイタリアの食の幅をさらに広げている。
italiamai3イタリアの店頭に並ぶさまざまなお米。写真左上/左端がイタリアの“アルボリオ米”で右側がタイ米、写真左下/タイの“黒米”、写真右下/“バルド米”

 

保存方法についても、イタリアと日本とはかなり相違がある。イタリアにはもちろん、ライサーは存在しない。イタリアではお米もパスタと同じ扱いであるから、冷暗所である食品庫に、買ってきた袋のまま置かれているのが通常である。1キロ単位で買ってきたお米は、ともに食事をする人の人数にもよるが、1回か2回で使い切ってしまう。ライサーであれば、1合2合という具合で計るが、パスタと同じ扱いのイタリアのお米は、計量器で量って調理するのだ。

イタリアを旅行中においしいリゾットを食べたい、と思ったら、やはり本場はミラノを中心とした北イタリアと考えた方がよい。イタリア半島では随一といってよい広大な平野、ポー平原周辺がお米の一大産地であるからだ。イタリア半島を南下すると、水田を目にすることはほとんどなく、ゆえにお米の文化はやはり北イタリア独特のものであることを実感するのである。

 

引用元:①Il genio del gusto Alessandro Marzo Magno 著 P125

参考文献:
・Il genio del gusto Alessandro Marzo Magno著 Garzanti 刊
・Storia dell’alimentazione  Jean-Louis Flandrin, Massimo Montanari監修 Laterza刊
・Leonardo non era vegerariano Oscar Farinetti監修 Maschietto 刊

 

文:cucciola
イタリア在住十数年。ローマ近郊の山から、イタリアの魅力発信中。
ブログ ルネサンスのセレブたち(http://blog.livedoor.jp/cucciola1007/
    イタ飯百珍(http://cucciolasapori.hatenablog.com/

「アーユルヴェーダ×お米」でより健康的な毎日を

 

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お米は、私たちの身体を作るのになくてはならない食材である。それは世界共通で、インドの『アーユルヴェーダ』でも同じである。日本とインドでのお米に対する捉え方の違いを、アーユルヴェーダの視点で見てみよう。お米への印象や食べ方が変わるかもしれない。

 

アーユルヴェーダとは?

アーユルヴェーダとは、インドに伝わる世界最古の伝統医学のことである。サンスクリット語で『アーユル(生命の)ヴェーダ(科学)』という意味。病気の治療のことばかりでなく、予防を視野に入れた考えや、生活習慣を説いている生きる知恵なのだ。この世のものは五大元素(空・風・火・水・土)で構築されていると考えられている。人の身体・時間・季節など、全てだ。そして、身体を支えるエネルギーを『ドーシャ』といい、ヴァータ(空と風)・ピッタ(火と水)・カパ(水と土)の3つでバランスをとっている。人は誰でも3つの要素を持っていて、そのバランスが崩れると気持ちが安定しなかったり、病気になると考えられている。(自身のドーシャが気になる方は「ドーシャ診断」で検索。)

 

アーユルヴェーダとお米の関係性

ayurveda2アーユルヴェーダでは、食べ物は3つのグナ(性質) に分類される。心を左右する3つの性質を『トリグナ』と言い、サットヴァ(純粋性)・ラジャス(動性)・タマス(惰性)がある。サットヴァは理想の状態、バランスと調和のとれたもの(健康な状態)を意味する。ラジャスは動きを意味し、ラジャスが増えると心身のバランスが崩れ始め、イライラしたり不安になったりする。そしてタマスが増えると、無気力や鬱の状態になってしまう。お米はサットヴァに分類され、その中でも特に純粋性が高い食べ物とされている。

さらに、全ての食べ物が『オーグメンティング(身体に栄養を与えるもの)』と、『エクストラクティブ(排泄を手助けするもの)』の2つに分けられる。6:4の割合でとることが、バランスがいい食事とされている。お米はオーグメンティングに属す。オーグメンティングの食べ物の特徴として、甘味をもっていることが多い。

以上のことから、アーユルヴェーダの考えの中で、お米は純正なものとされ、身体に良いエネルギーと栄養を与えるとても重要な食材なのだ。

 

アーユルヴェーダ的お米の食べ方

お米は、ジャポニカ米とインディカ米の大きく分けて2つの種類がある。普段私たちが食べているお米はジャポニカ米で、実は世界で約2割程度しか栽培がされていない。比べてインディカ米は、世界の約8割のお米を占めているのだ。近年では多国籍料理店の流行によって、インディカ米を目にする機会が増えたように思う。
アーユルヴェーダでよく食べられるのは、“バスマティライス”と“ジャスミンライス”だ。“バスマティライス”は、香り高いお米として有名で、炒った木の実のような香りがする。“ジャスミンライス”は、「香り米」とも呼ばれ世界的にも高級なお米で、ナッツや豆類のような香りがする。“バスマティライス”に比べて少し丸みがあるのが特徴である。

 

アーユルヴェーダでは欠かすことのできない、“キッチャリー”と呼ばれるインド式粥がある。ショウガのすりおろし・岩塩・ギーと、その時の自分に合ったスパイスをたっぷり使い、引き割りムング豆(緑豆)と一緒に炊いて作る粥である。
“ギー”とは、発酵無塩バターを火にかけ、余分なものを取り除いた純正なオイルのこと。アーユルヴェーダでは料理には勿論、マッサージオイルとしてなど多様な使い方がある。キッチャリーを作るのに使うスパイスは、シナモン・カルダモン・ターメリック・コリアンダーなどさまざま。キッチャリーは心と身体の両方を安定させてくれる浄化食。普段フル稼働している身体の消化器官を休めるのに適した食事である。定期的に食べることでダイエット効果も期待できるのだ。
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食生活をいきなり全て変えることは難しい。しかし、食べ方を少し工夫するだけで、太りにくくなる身体と習慣は作ることができるのだ。お米を食べる=太るというのは間違っている。アーユルヴェーダで実際に行われている食べ方の知恵を2つ紹介しよう。
ひとつめは「一口ごとにスプーン(箸)をおく」。これを行うことでよく噛む習慣や、何より今、口に含んでいるものをしっかりと味わって食べることができる。常にスプーンやお箸を持っていると、無意識に今食べているものよりも、次に口に入るものに意識が向いてしまいうのだ。食材を育てた人、食事を作った人に敬意を払って美味しく食べることが大切。ふたつめは「げっぷがでたら食事をやめる」。げっぷは身体からのお腹がいっぱいのサインなのだ。この習慣を身につけることで食べ過ぎることがなくなるのだ。

このように、お米はアーユルヴェーダの世界でもなくてはならない食材なのだ。国や文化を超えて、お米を美味しく楽しみながら、心身共に健康的な毎日を過ごしていただきたい。

日本人の常識を覆す!タイ米の美味しい炊き方と味わい方

 

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食の多様化が広まり、世界で最も幅広いジャンルの料理を味わえる日本。ただ、主食である『米』についてはどうだろうか。もちろん、日本米は美味であり、日本人の味覚にも最も合っている。それは間違いない。しかし、世界には日本米以外にもさまざまな米があり、それぞれが独自の美味しさを持っている。例えば、タイ米。1993年の米の大不作によって、大量に輸入されたタイ米。その時の悪いイメージを、未だに引きずっている人も多いのではないだろうか?しかし、実はタイ米はとても美味しい米の一つなのである。そこで今回は、タイ米に抱くマイナスのイメージを払拭すべく、日本人が知らないタイ米の魅力と、その味を最大限に引き出す最善の炊き方をご紹介したい。

 

そもそもタイ米の魅力とは?

 日本米とタイ米は、そもそも全く違う種類の米である。日本米は“ジャポニカ種”といわれ,日本以外でもアメリカやオーストラリアなどで栽培されている。米粒は中粒もしくは短粒で、粘り気が強いのが最大の特徴だ。一方、タイ米は“インディカ種”という品種で、米粒は細長く、“ジャポニカ種”とは異なり粘りはなく、パサパサとした食感を特徴とする。

タイ米はアジア全域で広く栽培されており、実は世界的に見ると、生産されている米のうち80%がこのタイ米。つまり、世界で最も食されている米なのだ。実際にタイのスーパーに行くと、多種多様なタイ米が売られているのを見て驚くだろう。特に“ジャスミン米”と呼ばれる米は香り米とも言われ、炊いている間にトウモロコシのような穀物を思わせる香りを漂わせる(ジャスミンのような香りがするわけではなく、ジャスミンのように香りが強いからその名がついた)。

このように、日本米とタイ米は異なる品種の米であり、その魅力も全く異なるのだ。それゆえ、タイ米を日本米と同じように炊いても美味くはないし、日本米と同じ美味しさを求める方が無茶とも言える。その辺の事情を知らないために、タイ米の美味しさが実際にはよく知られていない、と言うのが日本での実態ではないだろうか?では、タイ米を美味しく炊くには、どうすれば良いのだろうか?

 

実践!タイ米を美味しく炊く『湯取り法』とは

日本米とタイ米が全く違うものであることは、述べた通り。そして実は、炊き方も全く異なるのだ。それが『湯取り法』と呼ばれる炊き方である。まず、鍋に水をたっぷり張って沸かしていく。水の量については特に気にしなくてOK。この辺からして、すでに日本米の炊き方とは全く違うことが分かるだろう。

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お湯が湧いたら、必要な分のタイ米を投入する。まさに日本人の常識を覆す炊き方だ。米が焦げ付かぬよう、軽くかき混ぜながら7~8分ほど煮ていく。そう、“炊く”のではなく、“煮る”のが正しいタイ米の調理法なのだ。

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味見をして、少し芯が残る『アルデンテ』のような状態になったら一度火を止め、お湯を切る。再度火をつけ、今度は弱火にして鍋に残った水分を飛ばしていく。米がパチパチという音を出したら火を止めて蓋をし、10分ほど蒸らせば完成だ。

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こちらが炊き上がった(茹で上がった?)タイ米だ。

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食べてみると、日本米のような香りや旨味はあまりなく、あっさりとした味わい。一方で、大量のお湯で炊くためか、パサパサとした食感もそれほど気にならず、むしろタイ米が持つ優しい味わいに新鮮な驚きを感じるだろう。

以上が、タイ米の本来の美味しさを最大限に引き出す『湯取り法』という炊き方だ。もし炊飯器で炊く場合は、軽く水洗いしたあと(糠がないため日本米のように研ぐ必要はない)、米に対して1.5倍程の水を加えて十分に浸水させた後に炊き上げると、『湯取り法』で炊いた時と近い味わいを得られる。しかし、タイ米の美味しさを真に発揮するのは、何と言ってもおかずと一緒に食すときだ。

 

タイ米をより美味しくするオススメのおかず

 本場タイでは,ご飯を日本のように茶碗によそって食べるようなことはしない。平皿に盛り、その上におかずをのせて食べる、『おかずのせご飯』が定番だ。

taimai5日本米と違って米自体の水分量が少ないため、おかずの汁気を米の一粒一粒が吸い込んで、素晴らしい美味しさになる。日本でもおかずを一度ご飯に乗っけて食べる、いわゆる『ワンバン』派も多いが、それをさらに美味しくした味わいといえば分かりやすいだろうか。何しろ米自体がおかずの美味しさを吸収するのだから、まずいはずがない。それゆえ、タイのおかずはどれも汁気が多く、感動的なほどタイ米に合う。日本では“チンジャオロースー”や“ホイコーロー”など、中華系の濃い目の味付けの料理がよく合うだろう。もちろん、水分が少ない米の特性を活かしてチャーハンにしても最高だ。ぜひ一度、美味しいタイ米を味わっていただきたい。

日本人にとって、一番美味しいお米が日本米であることに間違いはない。無理して日本米をタイ米に切り替える必要も全くない。しかし、料理に合わせて日本酒にするか、ワインにするか考えるのと同じように、その日のおかずに合わせてタイ米を食べる、という習慣を取り入れれば、日本の食卓の豊かさはさらに広がるのではないだろうか? 日本米だけを食べるのは、あまりにももったいなさ過ぎる。世界にはタイ米のように、日本米とは異なる美味しさを持つお米も存在するのだから。

 

文:dctyk
タイ在住のライターで、日本にも拠点を持つ。日本とタイを行き来しながら、タイの食文化を探る日々を送る。タイ人直伝の米の炊き方を元に、湯取り法にたどり着いた。お酒に関する造形も深い。

【レシピあり】美味しいお米と一緒に食べたいご飯のおとも〜薬膳的に見た春に食べたいおかずとスープ〜

oishiiok0美味しいお米をより効果的に食べる!!薬膳の視点から見たお米の効能は、体を温めも冷やしもしない平性でとってもバランスの良い食材です。また、消化を整えて、パワーをつけてくれるので疲れをとったり、消化吸収を整えてくれます。


春はデトックスの季節



春を迎え、まだまだ寒い日は続きますが少しずつ暖かくなる季節です。自然界は陰から陽へと空気が変化していきます。そして体は冬に溜め込んだものを出すデトックスの時期でもあります。そのデトックスを行ってくれる臓器が肝臓です。よって春は肝臓が活発に
働きトラブルを起こしやすくなります。肝臓の働きが弱まると、目や爪のトラブル、手の指や足のつり、お腹の張りや月経痛など様々な不調を引き起こします。また肝臓は「怒りの臓器」と言われています。イライラしたり怒ったりすることが多くなるので、肝臓を保養するとともに楽しい気持ちで過ごすことが大切です。

この時期に取りたいオススメの食材

肝臓の働きを正常化してくれるもの・・春菊、セロリ、クレソン、ニラ、ピーマン、ウコン、グレープフルーツ、きんかん、松の実等

体を潤す作用があるもの(肝臓の働きが盛んになると体の中の血や水が減ってしまうため)・・人参、ほうれん草、山芋、黒豆、白きくらげ、ぶどう、落花生、イカ、豚肉、あさり、ハマグリ、しじみ等

より効果的に・・ご飯と一緒に食べたいおかずとスープ
◆気の巡りを良くして肝臓を整える 春菊とじゃこの胡麻和え◆

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<レシピ4人分>
春菊 1束
ちりめんじゃこ 大さじ3
白ごま 大さじ2
*ナンプラー 大さじ2
*レモン汁 小さじ1
*ごま油 小さじ1
<作り方>
1. 春菊は沸騰したお湯でさっと茹で、水にさらして
 しっかり水気を絞っておく
2. 水気を絞った春菊を細かく刻む
3. ボールに2とちりめんじゃこ、白ごま、*の調味料を全て
 入れて和えれば出来上がり

 

◆潤して気の巡りを良くする 山芋とニラのスープ◆

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 <レシピ4人分>
長芋 200g 
ニラ 1/2束  
干しエビ 大さじ2
生姜 1かけ
酒 大さじ2
醤油 小さじ2
塩 味をみて整える
水 4カップ
ごま油 適量
<作り方>
1. 干しエビ軽く水で洗って水気を切り、湯をひたひたに注ぐ
 蓋をして10分程度蒸らし、ザルにあげて水気を切る
 戻し汁はとっておく
2. ニラは細かく切り、長芋は1cm程度の角切り、生姜は
 みじん切りにする
3. 鍋にごま油を入れて、生姜を入れ香りが出たら干しエビと
 ニラを入れて炒める
4. 3に酒、水を入れ、ふつふつしたら長芋と干しエビの
 戻し汁を入れる
5. 長芋に火が通ったら醤油と塩を入れて味を整え出来上がり

 

建部春菜
「薬膳とヨガと心地よい毎日」主宰。熊本を拠点に薬膳やヨガをベースとしたライフスタイルを提案。様々な場所で薬膳やヨガのイベントを開催 。また、学研プラス merアプリにて「かんたん薬膳」を連載。

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