お米の発酵パワーで心身を健やかに。適量の日本酒がもたらす『百薬の長』効果とは

 

『酒は百薬の長』ということわざがある通り、古来、適量の酒はどんな良薬よりも体に良いと考えられてきた。そして世界に数ある酒の中で、健康への効能を最も期待できるのが実は日本酒なのである。ではいったい日本酒の何がどう健康に効くのだろうか? その辺りを少し掘り下げてみたい。

 

日本酒の健康パワーの源は豊富なアミノ酸にあり

醸造酒*である日本酒には、ビタミンやミネラル、アミノ酸、有機酸など、お米と米麹の発酵過程で生じた大量の栄養成分が息づいている。その数は何と120種類以上。嗜好品でありながら、栄養価が極めて高い飲み物である。特にアミノ酸含有量は他の酒類と比べても格段に多く、ワインの10倍以上とされている。

その中には、体内で合成できない必須アミノ酸(リジン/トリプトファン/ロイシン/イソロイシン)をはじめ、運動時のエネルギー源になるアラニン、内分泌・循環器系機能の調整に役立つアルギニン、免疫機能の維持や消化管の保持をするグルタミン酸などが含まれ、このアミノ酸の多さが日本酒の健康効果を高める大きな要因となっている。

*醸造酒: 日本酒、ワイン、ビールなどのように穀類や果実を発酵させてつくった酒。醸造酒をさらに蒸留させて造るのが焼酎、ウイスキー、ウォッカなどの蒸留酒である。

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血圧を下げ、心疾患のリスクを軽減させる効果も

アミノ酸分子が2個以上結合した化合物をペプチドと言うが、日本酒からは血圧をゆっくり下げる作用を持つペプチドや、悪玉コレステロールの酸化変性を抑えるペプチド、健忘症予防に役立つペプチド、糖尿病患者のインスリンの感受性を改善し、心疾患(高血圧/動脈硬化/狭心症/心筋梗塞)のリスクを軽減するペプチドなどが発見されている。特に糖尿病の治療では、日本酒に含まれるアルギニンも血糖値の低下に役立ってくれる。

こうした研究結果を受け、糖尿病学会でも血糖コントロールが良好で合併症がない限り、1日約1合の日本酒の摂取を許可している。もはや糖尿病=日本酒を避ける、という考え方は過去のものとなっているのだ。

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他の酒類を上回る血管拡張作用が心身を解きほぐす

アルコール飲料の多く(特に蒸留酒)は体を冷やす作用を持つが、日本酒は血管を拡張し血行を促進する物質(アデノシン:核酸の一種)を他の酒より圧倒的に多く含むため、体温が高い状態が長く持続する。そして血管が拡張すると毛細血管の働きも活性化するため、冷え性、肩こり、腰痛などが和らぐとともに、ストレスの解消にもつながる。

思えば寒い冬に飲む燗酒は、温めることで常温と一味違う旨味が引き出されると同時に、体を温め心をリラックスさせる効能を一層高める意味でまさに一挙両得。心身の疲れを癒してくれる、日本独自の優れた食文化の一つと言えるだろう。

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百薬の長の代表である日本酒の優れた効能をいくつか並べてみたが、かの『徒然草』にて吉田兼好は、「百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそ起これ」という一文と共に、世の酔っ払いたちの悪行をこれでもかと書き連ねている。

百薬の長となるのは、あくまで適量の日本酒のみ。過ぎたる酒は万病の元になることを肝に銘じつつ、お米の恵みの良薬と末永くおつきあい頂ければと思う。

 

参考サイト:
healthクリニック
http://www.health.ne.jp/library/5000/w5000392.html
日経Gooday

http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100015/062100022/
Sake Viva

http://jo-jima.com/ec/sake/blog/how_to_drink_sake/1113
良好倶楽部
https://ryoko-club.com/food/sake-nutrition.html

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