お米生まれなのにお米を超える底力! 美容と健康に効く驚きの酒粕パワー

sakekasupower1

酒粕は、文字通り酒の搾りカスである。そう書いてしまうと一見身も蓋もないが、「たかがカス」と甘く見てはいけない。お米から生まれた酒粕は、醸造の過程でお米をはるかに凌ぐ驚くべきパワーを秘めているのである。今回は新しい学術的な知見も踏まえつつ、酒粕が持つ美容と健康への効能についてスポットを当ててみたい。

 

ただのカスではなくペプチド、アミノ酸、ビタミン等栄養素の宝庫

sakekasupower2

酒粕とは、蒸したお米を米麹と水で仕込んで発酵させ、できた醪(もろみ)を搾って酒を得た後に残る固形物である。醪のうち重量比で約3/4が酒になり、1/4が酒粕となる。酒の搾り方によって板状の板粕、柔らか過ぎて板状にならなかったばら粕、ペースト状の練り粕、熟成発酵させ奈良漬などに用いる踏込粕(土用粕)等の種類がある。

 

これまでは大半が廃棄され、ごく一部が甘酒や粕汁、粕漬け等の形で食卓に上るのみだった。しかし近年の学術的研究によって、酒粕には植物性タンパク質、ペプチド、アミノ酸、ビタミン、核酸関連物質、100種以上の酵素など豊富な栄養素が含まれていることが判明。カスどころか底知れぬパワーの宝庫として、改めて価値が見直されている。中でも近年注目されている成分が、生活習慣病の予防や改善に効果があるレジスタントプロテインである。

 

肥満抑制・コレステロール低下・抗うつ・肝機能障害にも効果的

レジスタントプロテインは、お米やそば、大豆等に含まれる難消化性タンパク質の一種である。胃で消化されずに小腸へ達し、脂肪を吸着して便と一緒に排出されるため、便秘改善、血中コレステロールの低下、肥満抑制等の効果を持つ。そして酒粕ならお米よりもはるかに効率よく摂取できることが確認されている。

sakekasupower3

それだけではない。酒類総合研究所の発表によると、S-アデノシルメチオニン(SAM)が酒粕に多く含まれていることが判明した。SAMはアルコール性の肝機能障害やうつ病、関節炎等への効果がある成分で、欧米では処方箋薬やサプリとして使われているが、酒粕なら1日20gで抗うつに、50gで抗肝障害に有効な量が摂取できる。アルコール性肝機能障害の治療に酒の搾りカスが役立つのも不思議な話だ。日頃の食生活で不足しがちな葉酸も多く含まれており、貧血予防等の効果も期待できるという。

さらに、愛媛大の研究によればガン細胞の抑制や糖尿病の治療にも効果があり、秋田大の研究によれば花粉症にも効くとのこと。実に恐るべきカスである。

 

保湿・美白・アンチエイジングにも効く酒粕の旨い摂り入れ方は? 

美容効果についても侮れない。酒粕には保湿効果のあるアミノ酸をはじめ、シミやニキビに効く美白成分の誘導体であるアルプチン、シワやくすみを防ぐコウジ酸、アンチエイジング効果が期待できるフェルラ酸などが多く含まれている。カロリーを燃やすビタミンB1や、肌のターンオーバー周期を整え皮膚と粘膜を正常に保つビタミンB2も効率的に摂取できる。また、メラニンの生成を抑制する効果もあるため、紫外線を多量に浴びた日は酒粕パックも効果的だ(詳しくはコチラ)。

sakekasupower4

では酒粕を美味しく摂取するにはどうするか。粕汁、魚の粕漬、甘酒などが定番だが、寒い季節にぜひ試してほしいのが酒粕鍋である。鍋に水、昆布、豚もも肉の薄切り、白菜、にんじん、白ネギ、木綿豆腐、椎茸を入れて中火にかけ、沸騰したら酒粕と味噌、ほうれん草を加えるだけ。もちろんお供は日本酒で、最後はご飯を入れ雑炊で締めたい。

お米好きには酒粕煎餅もおすすめだ。大さじ2の酒粕と水を適量の塩・ごま油と混ぜ合わせた後、茶碗1杯分のご飯(残り物でOK)を加えてさらによく混ぜ、スプーンですくって耐熱皿の上に一口サイズ大で平たく乗せる。あとは電子レンジで焦げがつくまで加熱するだけ(500Wで5分が目安)。純米酒、古酒のアテにピッタリである。

 

酒粕は和食の旨味の素とされるアミノ酸が豊富で、昆布のグルタミン酸、鰹節のイノシン酸、キノコ類に多く含まれるグアニル酸等のだし素材と組み合わせると、旨味の相乗効果が期待できる。料理好きな方はぜひご自身の直感とセンスで、酒粕パワーを日々の食卓の中でも引き出してほしい。

 

参考サイト:

IN YOU journal

http://macrobiotic-daisuki.jp/sakekasu-13222.html

KURAND
https://kurand.jp/11434/
https://kurand.jp/15557/

酒粕と日本酒の専門店竹屋
https://www.sake-kasu.com/blog/?p=344

NIKKEI STYLE
https://style.nikkei.com/article/DGXDZO48237660Z01C12A1W13001

健康と美容に貢献する「酒粕」の成分
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan/107/5/107_282/_pdf

E・レシピ
https://erecipe.woman.excite.co.jp/detail/7a55f04e6cd6e327a893a6130c31a2f4.html

okomeno
mozi rekishi mozi tane mozi bunka mozi hito mozi hito mozi huukei mozi noukamuke

もち米、玄米、古代米etc.…ちょっと変わったお米で醸す日本酒色々


土壌の肥沃さの目安、『CEC』とは?


管理栄養士が教える! 夏バテ予防抜群♪「サバを使ったマリネ」


なぜお米からフルーティーな日本酒が造れるのか?  お米の香りを引き出す酵母の知識


okomenoseiikuwo 3

お米の生育を左右する『リン酸』のあれこれ。可給態リン酸やリン酸吸収係数とは?