【季節の行事レシピ】管理栄養士が教える「お祝いに欠かせない『お赤飯』」

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桜の季節は卒園や卒業、入学などのお祝い事が増えるシーズン。お赤飯を囲んで家族でお祝いする、というご家庭も少なくないと思います。卒・入学式をはじめ、お食い初めや節句、結婚式などの人生の節目に欠かせないお赤飯。なぜ日本人はお祝いの時にお赤飯を食べるようになったのでしょうか。ハレの日に欠かせないお赤飯ですが、その歴史と伝統の継承を目的として11月23日*の勤労感謝の日が『お赤飯の日』と制定されているようです。

*皇極天皇の時代から、11月23日(新嘗祭)にお赤飯の起源と言われている赤米などの五穀を奉納してきました。現代でも全国各地で、11月23日に五穀を祭る伝統が継承されています。

 

縁起がいいお赤飯の歴史

お赤飯は本来、赤米を蒸したものだったようです。日本では古くから赤い色には邪気を祓う力があると信じられており、おめでたい色とされていました。さらにお米が高級な食べ物であったことから、赤米を炊いて神様に供えるという風習があったようです。赤米とは、縄文時代に日本に伝わってきたお米で、炊きあがるとお赤飯のような色になります。一般庶民の多くは江戸時代の前くらいまで赤米を食べていましたが、稲作技術の発展による品種改良により現在のお米へと変化。しかし、赤い色のご飯を神様に供える習慣は根強く残ったため、白いお米に小豆などで色付けしたものがお赤飯として広まったと考えられています。

おこわの一種であるお赤飯ですが、ハレの日の食べ物という意味もあります。その際南天が添えられるのは、『難を転じて福』という『難転』の語呂合わせからだけでなく、南天は縁起の良い木と言われている点、さらに南天の葉は防腐作用や解毒作用などもあり喘息や強壮薬にも使われているなど、先人の経験と知恵によって習慣化されたものだと考えられています。


地域が変われば素材も変わる、ご当地のお赤飯

現在ではもち米と小豆で作るのが一般的ですが、地域によってさまざまです。北海道では元々小豆を使った赤飯が一般的でしたが、食紅や甘納豆を用いて作るように変化していきました。開発者である『光塩学園女子短期大学』の初代学長によると、「忙しくても子どもたちに美味しいものを食べさせたい」という思いで作られたそう。手軽に作れ、子どもたちが喜ぶ赤飯として『甘納豆赤飯』は北海道内で一気に普及しました。

その他、鹿児島県奄美大島ではハーヤーマンという赤紫色の山芋とうるち米で炊くお赤飯があり、新潟県では『醤油赤飯』と呼ばれる醤油おこわもあります。また、関東では腹切れ(種皮が破れること)をしないことが武士の間で好まれたことから、今でもお赤飯には小豆ではなくささげを使った『ささげ赤飯』が食べられています。

 

小豆は高タンパク低脂質な健康食品

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お赤飯は特別なお祝いの日に作られ、『赤飯』・『強飯(こわめし)』・『おこわ』などと呼ばれてきました。もち米に小豆やささげを入れて蒸し上げる『蒸しおこわ』が一般的ですが、もち米にうるち米を混ぜて小豆などと一緒に炊き上げる『炊きおこわ』もあります。

小豆は乾燥豆の重量の約半分が炭水化物、タンパク質は約20%含んでいるのに対し脂質は約2%程度。『高タンパク低脂質』な小豆は健康食品としても注目されており、ダイエットにも効果的だと言われています。お米に不足している必須アミノ酸のリジンとスレオニンを小豆が補ってくれるためアミノ酸バランスがよく、タンパク質の栄養価が高くなります。


◆炊飯器でつくる『お赤飯』
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<材料> 4合分
もち米       3合
うるち米      1合
小豆        100g(60g~100g程度)
塩         小さじ1
ごま塩       少々


<作り方>
① もち米とうるち米を一緒に研ぎ、ザルにあげて30分くらい置いておく

② 小豆は洗って鍋に入れ、少なめの水(ひたひたよりも少し多いくらい)を加えて加熱する

③ ②が沸騰したら火を止めてザルにあげてゆで汁を捨てる

④ ③に再び水(800ml)を入れて小豆を固めにゆでる
(指でギュッとつまんでつぶれるくらい、30分くらいが目安)

⑤ ④をザルにあげ、ゆで汁を下記写真のようにしておたまですくい、上の方から何度か落として空気に触れさせる(空気に触れさせることでより濃い色になります)
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⑥ 炊飯器にお米と⑤のゆで汁をおこわの目盛りまで入れて30分程浸水させる
(おこわの目盛りがない場合は通常のごはんの目盛りよりも少しすくなめの水加減に)
  ※ゆで汁が足りない時は水を足してください

⑦ ⑥に塩を入れて軽く混ぜ、小豆を入れて炊飯する

⑧ 炊きあがったら混ぜて器に盛り、ごま塩をかけて完成

蒸し器で作る蒸しお赤飯ももちろんおいしいですが、手軽さを重視したい時は炊飯器が◎。少しうるち米を入れることで冷めてもかたくなりにくいだけでなく、小さいお子さまも食べやすくなります。お赤飯が残った場合は冷蔵庫にいれるのではなく、ラップや保存容器に入れて冷凍しましょう。卒・入学シーズン、手軽にできるお赤飯を作って家族そろってお祝いしてみてはいかがでしょうか。

参考文献:
『親子で楽しむものしりBOOK 食で知ろう 季節の行事』/高橋司/長崎出版株式会社/2008年
『年中行事・記念日から引ける 子どもに伝えたい食育歳時記』/新藤由喜子/株式会社きょうせい/2008年
参考サイト:
公益財団法人 日本豆類協会 https://www.mame.or.jp/
赤飯文化啓発協会|お赤飯の歴史 http://www.osekihan.jp/history.html
北海道Likers http://www.hokkaidolikers.com/articles/2102
光塩学園調理製菓専門学校 https://chouri.koen.ac.jp/blog/2018/08/post-724.html

文:カベルネmama
管理栄養士、食生活アドバイザー2級の資格を保持。保育園で献立作成や食育を担当していた経験を持つ。現在は幼い3人の息子の育児をしながらレシピ記事作成を行う。料理を作ること・食べることが大好き。子どもたちのため、栄養たっぷりで簡単に作れ、喜んで食べてくれるものを考案する日々を送る。

 

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