【春レシピ】管理栄養士が教える「水溶性食物繊維が豊富♪ 茎ワカメの佃煮」

塩蔵や乾燥など一年中食べられているワカメですが、旬は春(3月~5月)で「生ワカメ」はこの時期にしか食べることのできない貴重な食材です。ワカメは下の図を見て分かるように、一般的に「ワカメ」として食べられている“葉体”、「めかぶ」として食べられている“胞子葉”、そして「茎ワカメ」として食べられている“中芯”に分かれています。それぞれ食感が異なるため調理法も様々です。今回は、コリコリとした食感が特徴の茎ワカメに注目してみましょう。 

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葉体であるワカメよりもミネラル豊富

昆布やワカメなどの海藻に多く含まれているミネラルですが、茎ワカメは葉体であるワカメよりも多くのミネラルが含まれています。骨や歯などが作られる際に大切な栄養素であるカルシウムは2倍、マグネシウムは約4倍も多く含まれます。さらに、むくみの改善が期待できるカリウムは7倍と、栄養素が豊富に含まれていることが分かります

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茎ワカメで便秘の改善や高血圧症の予防に

食物繊維には、水に溶けやすい水溶性と水に溶けにくい不溶性のものがあります。水溶性食物繊維は、果物などに含まれるペクチンやワカメに含まれるアルギン酸が代表的で、水に溶けるとゼリー状になり便の水分を増やしてやわらかくしてくれる作用があります。既に便秘の人は水溶性食物繊維を積極的に摂取することで、便秘の改善が見られます。また、胃や腸内をゆるやかに移動するため、お腹が空きにくく食べ過ぎを防ぐことができる上、糖質の吸収を緩やかにし血糖値の急上昇を抑える効果も期待できます。

茎ワカメには、水溶性食物繊維であるアルギン酸が多く含まれています。アルギン酸はその他にも、体内の不用なナトリウムと結合しアルギン酸ナトリウムとなって一緒に体外へ排出する作用があるため、高血圧症の予防や改善につながることが知られており、まさに健康な身体作りには欠かせない食材です。


水溶性食物繊維(アルギン酸)とお米の相乗効果

食物繊維は、不溶性と水溶性どちらもバランスよく摂取することが大切となります。不溶性食物繊維の代表的なものはセルロースであり、水を吸収して便の嵩(かさ)を増します。便が増えると、腸が刺激されて排便が促され便秘の改善につながります。さらに有害物質を吸着し排出する効果も知られており、大腸がんの予防にも役立っています。よく噛んで食べなければならないため、食べ過ぎを防ぐ効果もあります。

今回ご紹介するのは、水溶性食物繊維を多く含む茎ワカメのレシピですが、一緒に食べるご飯を精白米から玄米に変えることで、不溶性食物繊維が約4倍に増えます。玄米は、食物繊維の他にビタミンB1は8倍、ビタミンB6は10倍、マグネシウムは7倍、精白米よりも多く含まれています。マグネシウムは腸の水分を集めて便をやわらかくし、排便しやすくする作用もあります。玄米はしっかりと噛むことで満腹感も感じられるため、ダイエットにも効果的です。茎ワカメの佃煮と一緒に玄米を食べることで、便秘の改善や食べ過ぎを防ぐ効果がより一層上がります。

 

生姜入り茎ワカメの佃煮

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<材料>
茎ワカメ 200g
生姜 1カケ
酒 大さじ1
かつおだし 適宜
砂糖 大さじ2
みりん 大さじ2
濃い口醤油 30cc

<作り方>
①塩蔵の茎ワカメの場合は、2~6時間程度水につけて塩を抜く(その間数回水をかえる)
②茎ワカメを斜めの千切りにする
③生姜はみじん切りにする
④鍋に②を入れ、ひたひたになるようにかつおだしと酒を入れる
⑤沸騰したら砂糖・みりん・醤油を加え中~弱火で煮る
⑥再度沸騰したら③を入れてアクを取りながら汁がなくなるまで煮詰める


◆ポイント◆
茎ワカメを塩抜きする場合、急いでいる時は切ってから塩抜きすると時間短縮できますが、アルギン酸は水に溶けやすいため切って塩抜きすることでたくさん流れ出てしまいますので、切らずに塩抜きする方がオススメです。薄い塩水や熱湯を使った塩抜きで時間短縮できる方法もあります。塩抜きができたかどうかを確かめる場合は、少しかじって塩辛くないか確かめてみてください。

☆保存容器に入れて冷蔵庫で1~2週間程度保存可能です。

 

参考サイト:
http://www.nippon-wakame.jp/about/index.html

 

文:カベルネmama
管理栄養士、食生活アドバイザー2級の資格を保持。保育園で献立作成や食育を担当していた経験を持つ。現在は幼い3人の息子の育児をしながらレシピ記事作成を行う。料理を作ること・食べることが大好き。子どもたちのため、栄養たっぷりで簡単に作れ、喜んで食べてくれるものを考案する日々を送る。

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