タイ発のスーパーフード"ライスベリー"の気になる栄養価や味わい方を現地から紹介

 

健康志向への高まりから、お米などの炭水化物を抜く”糖質制限ダイエット”を行っている方も多いかもしれない。そもそも、食事から極端に糖質を排除するこうしたダイエットの是非についても盛んに意見が交わされているが、食べることで健康にも良いと言われているお米が存在していることをご存知だろうか? それがタイ発のスーパーフード、“ライスベリー”である。今回はタイに在住する筆者が現地で実際に見た、ライスベリーの実態や効能について紹介したい。

 

ライスベリーとは?

ライスベリーとは、2003年にタイの大学の研究機関で誕生した新しい品種のお米である。ご存知の通り常夏の国であるタイは年中暑いため、自然と体が欲して糖分を多く摂るようになる。タイのコーヒースタンドで購入するコーヒーなどは激甘なのだ。そのためタイ国内では糖尿病患者が増加し、近年大きな社会問題ともなっている。そのタイ人の健康を促進するために開発されたのがこのライスベリーなのだ。

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ライスベリーの特徴

パッと見ですぐに分かる、普通のお米とライスベリーの違いはその色にある。収穫前の外観からも明らかなように、紫色なのだ。紫色をした食品といえばポリフェノール。当然このライスベリーもポリフェノールを豊富に含んでいる。

ポリフェノールは抗酸化作用が強く、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病の予防に役立つと言われている。また美肌効果やアレルギーの改善なども期待できるが、水溶性で水に溶けやすいのが欠点。ところが水分を吸収して炊きあがるお米であれば、余すところなくそのポリフェノール成分を摂り入れることが出来るのだ。

ライスベリーには他にもルテイン、オメガ3,y-オリザノール、亜鉛、鉄分、各種ビタミンなどの成分が含まれている。特に通常我々が食しているお米には含まれない、ルテイン、オメガ3,y-オリザノールなどの美容と健康にも良い成分を含まれているのは非常に嬉しいのではないだろうか。

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ライスベリーの食べ方・味わい

ライスベリーが体に良いらしいことはよく分かった。しかし食品である以上、美味しくなければ意味がない。ではライスベリーの味わいはどのようなものだろうか?

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ライスベリーはタイ米の最高級品種であるジャスミンライスと、黒ジャスミンライスをかけ合わせて作られた品種であるため、お米自体も非常に美味しい。通常パラッとした食感のタイ米であるが、このライスベリーはそれよりも少しモッチリとした味わいが最大の特徴だ。そのため、我々日本人にとってもより食べやすいと思われる。

通常のお米と同じように炊いて食べるほか、白米と半々にブレンドするなど、様々な食べ方がある。また、お粥にしても美味しくいただける(タイ米をさらに美味しく炊き上げる方法については、筆者が以前に著した『日本人の常識を覆す!タイ米の美味しい炊き方と味わい方』の記事をご覧いただきたい)。

バンコクでは自然志向のレストランやカフェなどでライスベリーが提供されているほか、最近では街なかのフードコートなどでも気軽に食べられるようになってきた。元々タイは白米以外にも赤米やもち米など、食事(おかず)に合わせてお米を食べる文化があるため、紫色というちょっと変わった外見のライスベリーもすんなりと受け入れられているようだ。

また食事としてだけではなく、ライスベリーを使ったお菓子やドリンク(!)などがコンビニでも販売されており、タイ国内でのライスベリーの広がり方をうかがい知ることができる。

 

ライスベリーの日本での広まり方

バンコク市内では、スーパーなどで気軽にライスベリーを購入することができる。

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写真は筆者の家の近くのスーパーで撮ったものだが、このように普通に棚に陳列されている。価格は1kgで105バーツ(約350円)なので、普通の米と比べるとやはり若干割高ではあるが、日本人の感覚としては全く問題のない値段であろう。

日本では国際食品の見本市、『FOODEX JAPAN2016』で初めてこのライスベリーが紹介された。日本国内では現在のところタイ食材を扱う専門店や、ネットショップでも購入可能のようだ。

現状、ライスベリーの日本での広がり方はまだまだこれから、といったところだが、健康意識の高い人たちの間で徐々に注目を浴びるようになってきている。さらに健康食品として食べるのはもちろん、日本には紫色をした食材が限られているため、キャラ弁の食材としても一部で熱い視線が注がれているという。

 

いかがだっただろうか? 日本ではまだ馴染みの薄いライスベリーであるが、もともと健康食品として開発されたという経緯や、タイ米の高級品種・ジャスミンライスがベースになっていることから、食べて美味しく、体にも良いというまさに『スーパーフード』という肩書に恥じない食材であることがおわかりいただけただろう。日本でもブーム到来が近いとされるライスベリー。いち早くあなたのご家庭でもお試しあれ。

 

文:dctyk
タイ在住のライターで、日本にも拠点を持つ。日本とタイを行き来しながら、タイの食文化を探る日々を送る。タイ人直伝の米の炊き方を元に、湯取り法にたどり着いた。お酒に関する造形も深い。

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