お米に混じっている黒い米粒は何? 斑点米ができる原因と米農家の取り組み

お米に混じっている黒い米粒は何? 斑点米ができる原因と米農家の取り組み


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普段スーパーでお米を買う人とってはお目にかかることはほとんどないが、農家から直接お米を買ったことがあるという人は、黒い点が付いた米粒が混じっていたこともあるだろう。見栄えの悪さから嫌がる人が多く、時にはクレームになることもある。そもそもなぜ黒い点ができるのか、この黒い点を出さないように農家はどのような対策をしているのかを見ていこう。

 

黒い点“斑点米”をつくる厄介者とは

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斑点米が出来る仕組みについてはご存知だろうか。原因となるのは、米づくり以外にも家庭菜園などでも害虫として扱われる、カメムシである。カメムシはお米が発育する前の柔らかい稲穂を狙って中の汁を吸うのだが、これによってあの黒い跡が残るのである。厄介なのが、精米しても跡が残ることが多く、消費者の手元に届いたタイミングでも見受けられてしまうことだ。

見た目だけなら……とはいかないのが、生産者にとって避けては通れない等級検査だ。お米の等級を決める等級検査は、精米前の玄米で行うため、ほとんどの斑点米がカメムシの吸害の跡をそのまま検査に通さなければならず、見た目で等級を落とすことになる。生産者サイドとしては、等級の低さは収入に直結するため、当然ながら斑点米の被害を未然に防ぐことが重要とされているのだ。

 

カメムシの被害を防ぐ米農家の取り組み

厄介なカメムシからの被害を受けないよう、米農家はあの手この手で対策を講じている。メインとなるのは、薬剤による防除である。稲の穂が出る出穂(しゅっすい)から米の粒が発育・肥大する登熟までの7月から8月末の期間が、カメムシの被害を受けやすい。出穂して間もない、まだ柔らかい状態の玄米(籾ごと指でつぶすと中から汁として出る程度)に対してカメムシが吸引し、斑点となってしまうからだ。そのため、出穂してから登熟するまでの期間に薬剤を散布するが、現在は育苗箱に散布する形で初期防除を行う米農家も多い。

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その他、田んぼ周辺の雑草を刈り取って、カメムシの生息できる範囲を水田に作らないことが大事である。出穂前に周辺の雑草を刈り取ることでカメムシを追い出し、第一波を防ぐのだ。逆に出穂中に草刈りをしてしまうと、カメムシを水田に追い込むという恐ろしい事態になる。そうなると、この期間を避けて作業しなければならないので、もう一度草刈りをする場合には穂の状況を観察し、中の玄米が完全に硬くなった頃まで待つことが必要である。

カメムシによる斑点米の被害を抑えるため、草刈りと薬剤での防除のコンビネーションが重要であり、米農家はこれまでの経験と、常に各機関の情報を収集し、自分の足で自らの稲を調査しているのだ。

 

実際の食味にはほとんど影響しない斑点米

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これまで述べたような取り組みを米農家がいくら講じた所で、斑点米を100%防ぐということはなかなか難しい。しかし、この斑点米が入っているとお米の等級の評価にも関わってくるので、米農家にとっては最後まで頭が痛い。だからといって、斑点米を一粒一粒取り除くなんて、気の遠くなる作業もできない。

最近では、センサーやカメラによって斑点米や着色米を見つけ出し、吹き飛ばすという機械(一般に“色彩選別機”と呼ばれる)を導入する米農家や米屋が増え、私たちが普段目にするお米には、ほとんど斑点米が見受けられなくなっている。

消費者にとっても、斑点米が入っていると「品質や味に影響は無いのか?」と心配の声が上がるかもしれない。食味を落とすのは未熟な青米や生産方法、圃場の土壌などさまざまな条件がある。斑点米だからと言って、決して食味を落とす要素が混入しているとは限らないので安心して欲しい。そもそも斑点米は、精米時に削り落とされてきれいな精米になるか、見た目で残っているが食味に問題のないもの。ひどく被害のあるものについては、未熟米と一緒に精米時にはじかれているので、実際の食味には何ら問題ないのである。

どういった過程で、どういった土壌で、どういった人が育てているのか。人の手がかかったお米こそが、美味しい見た目と食味を兼ね備えることが出来るということを、ぜひ感じながらごはんを食べて欲しい。

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