「鰹節」として和食のお出汁には欠かせないカツオですが、みなさん鰹節以外でどのような食べ方をされているでしょうか。お刺身やタタキなどはよく聞いたことがありますが、実はあまり食べた経験がない方もいらっしゃるのではないでしょうか。スーパーなどでは頻繁に見かけるお魚ではありませんが、実はカツオにはお出汁としての旨味だけでなく、栄養もとても豊富で是非食べていただきたい食材なのです。今回は、そんなカツオの魅力をお伝えしたいと思います。
カツオには旬が2回ある!
カツオは温帯から熱帯地域の世界各地に分布している魚です。日本近海では、春は黒潮にのって太平洋側を九州南部から北上し、秋にはUターンして南下する回遊魚であり旬が春から夏と秋の2度あります。3月頃から日本近海を北上し始めるカツオは、獲れる時期や地域によって味はもちろん含まれる栄養素も変わってきます。
初夏に獲れる時期のカツオは「初ガツオ」とも言われ、味は淡白であっさりしておりダイエットにも最適なヘルシー素材です。一方秋に獲れるものは「戻りガツオ」と言われ、餌をたっぷり食べて南下してくるため脂がのっているのが特徴です。
戻りガツオの方が血液サラサラに
カツオには不飽和脂肪酸であるEPAやDHAが豊富に含まれています。EPAは『エイコサペンタエン酸』の略であり、血栓ができにくくしてくれる作用があるため動脈硬化や脳梗塞などの予防に効果的であると言われています。またDPAは『ドコサヘキサエン酸』の略称で、脳の機能を向上する作用に加え認知症予防にも効果があることが分かってきました。
EPAもDHAも必須脂肪酸の1つであり、体内では作ることができないため食事などから摂取する必要があります。これらのEPAやDHAは、イワシやサバなどの青魚に含有されており、特に脂がのった魚の方が含有率は高くなります。秋に取れる戻りガツオは春先に取れる初ガツオに比べEPAやDHAを含む脂肪酸が約10倍多く含まれています。同じカツオでも脂がよくのった戻りガツオを食べることで、血液をサラサラにし脳機能にも効果的です。
カツオは貧血予防に効果的
カツオは赤身で血合いが多いのが特徴であり、特に血合い部分には鉄分が豊富に含まれています。魚や肉由来の鉄分はヘム鉄と呼ばれ、野菜や海藻由来の非ヘム鉄よりも吸収率が高いという特徴があります。特に女性は鉄分が不足している人が多いため、良質な鉄分源としても◎。鉄分に関しては初ガツオも戻りガツオもほとんど同じ含有率となっています。
その他カツオには水溶性ビタミンであるビタミンB6・ビタミンB12に加え、脂溶性ビタミンであるビタミンDなども豊富に含まれています。ビタミンB6はヘモグロビンの合成に、ビタミンB12は赤血球の成熟に関与するビタミンのため、鉄分と並んで貧血予防に必須の栄養素です。またビタミンDはカルシウムの吸収を助ける栄養素であるため、成長期を初め強い骨を作る際に欠かせません。カツオを食べることで貧血予防に加え骨粗鬆症などの予防にもなります。
◆カツオの角煮
<材料>
カツオ(お刺身用) 150g
塩 少々
☆生姜 1カケ
☆酒 大さじ1
☆砂糖 大さじ1
☆濃口醤油 大さじ2
<作り方>
① カツオに塩をふり10分程放置しておく
② 生姜はすりおろしておく
③ キッチンペーパーなどで①のカツオの水分をしっかり拭き取る
④ ③を1~2cmくらいの角切りにする
⑤ 鍋に☆を入れて加熱し、まわりがフツフツと沸騰してきたら④を入れて煮汁が少なくなるまで煮る
※カツオは火を通すと身が締まってかたくなってしまうため、そのかたさが苦手な方は③の後に熱湯をかけて身をほぐし、⑤へと進んでフレーク状にしても◎。お好みの食べ方で。ご飯がとっても進みます。
参考サイト:
文部科学省 食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl
島根大学「国内初!100人規模の臨床研究で実証〜DHAに認知症予防効果〜」
https://www.shimane-u.ac.jp/docs/2010102502066/
厚生労働省 審議・研究会等より
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4j.pdf
文:カベルネmama
管理栄養士、食生活アドバイザー2級の資格を保持。保育園で献立作成や食育を担当していた経験を持つ。現在は幼い3人の息子の育児をしながらレシピ記事作成を行う。料理を作ること・食べることが大好き。子どもたちのため、栄養たっぷりで簡単に作れ、喜んで食べてくれるものを考案する日々を送る。