世界的にも知名度が高い松茸をはじめ、しいたけ、しめじなど、きのこは日本の食文化に欠かせない存在です。日本で天然きのこがよく発生するのは9月~12月なので、きのこ=秋の味覚といわれることが多いのですが、実はしいたけのように秋と春に旬をむかえるものもあります。また、栽培きのこは季節を問わず流通し、手に入りやすいのが特徴です。香りとうま味があり、繊維質やミネラルなど健康に役に立つ成分も多く含むきのこを使って常備菜を作ってみませんか。
いろいろきのこのあっさりつくだ煮を作ってみよう
生のきのこは保存性が良くないため、できるだけ早く使い切りたい食品です。安価な時につい多めに買ってしまったり、鍋物用に買いそろえたきのこが残ってしまったーー、そんな時にぜひ作ってほしいのがこのつくだ煮です。火入れして味付けておくことで日持ちがよくなり、冷凍もしやすくなるほか、さまざまな味わい方ができますよ。
また慣れていないと毒きのことの判別が難しく、採取に危険も伴う天然きのこですが、やはり風味は格別。天然きのこが手に入ったけれど食べきれない・食べ方がわからないという時にもつくだ煮はおすすめです。
傘が欠けてしまったり、部分的にしなびてしまったものもつくだ煮にすれば気になりません。また、しいたけの軸やエノキタケの根元に近い部分も捨ててしまわずつくだ煮にしておいしく味わいましょう。
<材料>
きのこ
濃縮つゆ、白だしなど(しょうゆ、みりん、酒でも)
刻み昆布、唐辛子、実山椒など…好みで
<目安となる分量>
きのこ200gに対して
・3倍濃縮つゆ(めんつゆ)…大さじ1
・水…大さじ2(うち大さじ1を酒に代えてもOK)
▶︎濃縮つゆを使わない場合は、
醤油…大さじ2
みりん…大さじ1
水…大さじ4(うち大さじ1を酒に代えてもOK)
*きのこはどんな種類でも使えます。数種類取り合わせると奥深いうま味と多彩な食感が楽しめますが、1種類のみで作っても、また、水戻しした干ししいたけを加えてもOKです。
<作り方>
①きのこの汚れをおとし、石突きや根元の部分を取り除く。
天然きのこは虫がはいっていることもあるので下処理が必要だが、栽培きのこの場合は土やおがくずで汚れているもの以外は基本洗わなくてもよい。ただし、なめこなど表面のぬめりが強いきのこはそのまま使うより軽く洗った方が味がすっきりする。洗う場合は調理する直前に軽く水洗いを。
②きのこを食べやすい大きさにする。
包丁で切る方が見た目はそろうが、手で裂くと独特の食感も楽しめる。
③焦げ付き防止加工したフライパンか鍋にきのこをいれ、中火で加熱する。
刻み昆布を加える時はここで。
しばらく加熱していると水がでてくるので、焦がさないように混ぜながら水分を飛ばす。このひと手間できのこの味が濃縮され、調味料の味染みも良くなる。
④きのこの水分がほぼなくなったら、濃縮つゆを少しずつ加えて混ぜ、好みの味に整える。
唐辛子や実山椒を加える場合はここで。
*市販のつゆを使わない場合は、酒→みりん→醤油の順で加えていく。
とろみがつくとより焦げやすくなるため、注意しながら煮詰め、鍋底に汁が残らなくなれば完成。
保存は冷蔵または冷凍で。冷凍する場合は、一回に使う分ずつラップで包んでおくと便利。
きのこのつくだ煮の楽しみ方
きのこのつくだ煮は炊きたての白ごはんによく合うおかずとしてはもちろん、雑炊やチャーハン、おにぎりの具として、また、きのこ丼、炊き込みごはん、混ぜごはん、ちらし寿司を作る時にも重宝するお役立ち常備菜です。油との相性も良いので、炊き込みごはんに使うなら刻んだ油揚げを一緒に加え、混ぜごはんにする時には上質の植物油を少し加えると、ごはんに艶がでて味わいも深まるでしょう。
松茸などの天然キノコは手がでなくても、栽培きのこなら一年中価格が安定しているので使いやすいのも魅力。使い残したきのこやしいたけの軸はそのまま冷凍しておき、ある程度量がたまったらつくだ煮にするというのもおすすめです。
今回の記事では、きのこの色合いがわかる程度の味付けにしていますが、味の濃さもお好みで作ってみてください。
文:松本葉子
食と旅を専門とするフリーランスライター。全国の飲食店のほか、農家、牧場、漁協など生産現場での取材を元にした記事を雑誌、webなどで執筆。自身の料理スキルを生かした記事執筆や食品企業へのレシピ提供も行う。